GARDEN CITY LIFE~annex~

お越しいただきありがとうございます。当ブログは清水玲子先生の『秘密』のレビュー(時にネタバレ)と二次創作(こちらは一部BL要素含)のざっくり二部構成になっております。記事は単純に日付順に表示されておりますので、お読み頂く際はサイドバーや記事一覧などでカテゴリーをご確認またはセレクト頂けますと安心、安全です<(_ _*)>

薪にゃんと一緒(夏の鈴薪祭り2017 sect.2) 

予想以上に仕事しつつの夏休み、というのの立ち回り方がよくわからずアタフタしているうちにだいぶ間が開いてしまったのですが、うちの鈴薪祭りまだ続いてます。そしてなかなか王子を出さなくて一体どの辺が鈴薪祭りなんだか( ̄▽ ̄;)一応自分でもつっこんでおきます…。
続きです。中弛み感がハンパない短さ(笑)です(^^;;




青木の背中が人混みの中に溶け込むのを見届けてから、露店の光が眩しい境内の一角からは離れた石灯籠の土台に腰を下ろす。
いつの間にか明かりに照らされた場所とその周囲との間には随分明るさに差が生まれていて、境内に背を向ける形で石燈籠の影に回ると、そこはもう薄闇というより本格的な夜の闇に近くなっていた。
手の中にあった綿菓子は見事に食べる気が失せてしまっていた。バナナフレーバーなんて、おいしいと思えたのは結局最初のうちだけのこと、特徴のある味や人工的な香りは5分もすれば飽きてしまうものだ。
(それにしても、こうやって見ると随分こぢんまりした縁日だったんだな)
人混みから離れひと息ついたからだろうか。すっかり魅力が失せてしまった手元の綿菓子のように、さっきまで身を置いていた場所が妙に侘しいものに見えた。出店の数はこういった場所にしては多い方だったし、暗くなるにつれ連れ立って歩く人の数も僕たちが着いた時より確実に増えていそうだというのに。
あの熱気と眩さの中にいた時は、妙な高揚感に包まれてもっと賑やかな祭りに思えた。まぁ、お祭りなどその一画を離れてしまえば温度差を感じるのは当たり前なのかもしれないが。
(…いや、違うな)
そう思うのは、多分僕がひとりきりになったからだ。あのどこか浮足立った気分は青木が一緒だったから。
青木はいつも僕の心の振り幅を大きくする。あいつはそういうやつなのだ。
(早く戻って来い、バカ)
一体どこまで戻ったものか、烏龍茶なんてなければないでお茶ならなんでもいいのに――って絶対烏龍茶って言ったのは僕か。……あの時、飲めるものなら何でもいいって言えばよかった。素直に一緒に行こうと言えばよかった。自分の可愛げのなさに嫌気がさすと同時に、溜息が出た。
もう手が伸びなくなってしまった綿菓子を袋に戻すと、極力潰さないように気をつけて輪ゴムで封をし直す。
やっぱり飽きちゃったんですね?
そう言って苦笑する青木が目に浮かぶ。薪さん、と呼ぶ声が、おかしなほど懐かしくよみがえって苦しかった。青木。早く早く、早く戻って来い。でないと――
青木を見送ってまださほどの時間は経っていない。そんなことはわかってはいたけれど、僕は何となくそわそわして、とうとうたまらずに立ち上がった。境内を出てしまえば探す当てはない。でもここでいるよりはましな気がした。
(…探そう。きっと見つけられる)
だって僕は今、生き霊なんだから。青木がいる場所ならきっとわかる。念のため、綿菓子は石灯籠の陰に置いて行くことにした。行き違いになったとしても、これを置いておけば青木はここで待つだろう。そうだ、ちょっと探して見つけられなかったら戻ればいいのだ。
「よし」
我ながら使い走りを命じた相手を心細さから探しに行くなんて情けなさすぎると思ったけれど、青木を見つけても寂しがっていた素振りなど見せず何でもない顔をしていればいい。いつものように、ただの気まぐれにしてしまえば。
それに、今日はデートなのだからちょっとくらい甘えてやるくらいの方があいつだって喜ぶに違いない。よくわからないけど、ツンデレは僕の専売特許なのだ(…って、青木が言ってた)。
それが目の端を掠めたのは、そんな決断をして数歩も進まない時のことだった。
「……?」
錯覚か、と思うほどさりげなく視界の端を泳ぐように過ぎ去った光の残像を求めて、歩みを止めた僕は自分が来た方を振り返ると左右をきょろきょろと見回した。
……すぐに反応したつもりだったけれど、気のせいだったのだろうか。振り向いた先にそれらしい光を放ちながら浮遊する存在は確認できない。
一瞬、蛍かと思った。もちろん季節外れだとはわかっていたけれど。
やっぱり錯覚だったんだろう。そう思って再び青木を探すため踵を返す。急ぎ足で人の増えた参道の方へ戻りかけたところで、今度ははっきりとそれが視界に飛び込んで来た。
「!」
――俺の母が子供の頃は、この川辺でも蛍が見られたそうなんですよ
青木との会話を思い出しながら、僕は一瞬その場に棒立ちになった。この時期にそれを見つけたことに驚いたというのもあったけれど、その光が蛍にしては大きくさながら人魂のようにも見えたからだ。よくよく思い返せば、光の色合いも自然のあたたかみを欠く色だったのかもしれない。
ザリ、と足元の玉砂利が音を立てた。蛍だと思われる光は、ゆっくりと敷地の奥の方へと低い位置を飛んでいく。僕が向かおうとしていた参道や道路側とは逆の方だ。でも、誘われるように身体がそちらを向いていた。
もし、あれをつかまえることができたら――
青木はどんな顔をするだろう。そう考えたらさっきまでの心細さや不安は靄が晴れるように消えていく。
その時僕は全くそんな自分に不自然さを憶えることもなく、ただ幼子のように無心に目の前の光を追うことを選んでいた。青木を探すのでもなく、時季外れの蛍の正体を訝ることもいつの間にか忘れ――先に待っている、思いがけない邂逅を予想する事も出来ずに。

(つづく…はず
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Comment

Name - eriemama  

Title - Re: 失礼します[庵]ョд・) ソォーッ…

粟田さんおはようございます(^^)いらっしゃいませ…どうぞどうぞ、そんなソォーッとお入りにならず、じゃまするでー、と今井管区のノリでお入りくださいませ(笑)

> いつお話考えていらっしゃるの(・_・;)??
> って思いました。

妄想族はどんな隙間時間にでも小ネタが考えられます(笑)仕事の移動時間とか玉ねぎみじん切りにしてる時でも可、です(笑)←危ないからちゃんと仕事しろよ自分;;;;

> 初読の粟田の感想は
> 「あかん!はぐれるパターンやっ!」です。

ベタですがあかんやつです(笑)っていうかいい加減王子出さなきゃですよね(^^;;命日過ぎちゃった( ̄▽ ̄;)←やっぱり?
そろそろ病的な眠気からは解放されそうなので、比較的元気な約半月の間に頑張ろうと思います…ハッ、でもそんなこんなしてたらメロディだ!;;;;

> 生き生きした丁寧な描写、可愛い薪にゃん。
> 続きが楽しみです✨

ありがとうございますw
私の文章っていつも言ってますがどうにも説明くさくてやわらかさがないので…他にも色々気になるとこありますけど一番のコンプレックスそこなんですよ(^^;)でも、丁寧な描写って言っていただけると救われます( ;∀;)
薪にゃんは可愛さが命です(笑)最近方向性は怪しくなっている気もしますが( ̄▽ ̄;)
頑張りますw
2017.08.12 Sat 09:29
Edit | Reply |  

Name - 粟田律  

Title - 失礼します[庵]ョд・) ソォーッ…

eriemama様こんばんは(*´▽`*)✨
お忙しいのにこのクオリティってどうやって
いつお話考えていらっしゃるの(・_・;)??
って思いました。

すごいなぁ。
初読の粟田の感想は
「あかん!はぐれるパターンやっ!」です。

生き生きした丁寧な描写、可愛い薪にゃん。
続きが楽しみです✨

2017.08.10 Thu 20:12
Edit | Reply |  

Name - eriemama  

Title - Re: ああもう蛍だなんて

にゃん先生お久し振りです~w

> しかしさすがは王子……。登場の仕方までキザ……(なのか?)

アハ( 〃▽〃)
なんか王子書いてると恥ずかしくなってくるんですよねぇ…なりません?(^^;)まぁ、そういう恥ずかしくなってくるところが鈴薪の好きなところなわけなんですけど…(笑)

> そして人工的な味はすぐ飽きるっていうの、あるあるですね!
> そう思うとプレーンってすごいのかも。

あるあるですよね?味もですけど、私は匂いの方がダメです。昔流行った匂い玉とか最悪でした(笑)
なんだかんだ言っても素朴が一番ですよ…。

> 夏休みできっとお忙しいことでしょう

今日は休みでしたが朝御飯と洗濯して買い出し出たらもう昼御飯で、ちょっと昼寝して起きたら夕飯の準備の時間でした(;´д`)←寝過ぎや;;;;

> お身体にお気をつけてゆるゆると頑張ってくださいね。

ありがとうございます(^ー^)
台風が行ったら明日は猛暑復活みたいですし、にゃんたろーさんもお身体気をつけて…
2017.08.08 Tue 22:12
Edit | Reply |  

Name - ねこじゃらしにゃんたろー  

Title - ああもう蛍だなんて

蛍なんて……切なさ倍増じゃないですか………。

しかしさすがは王子……。登場の仕方までキザ……(なのか?)


そして人工的な味はすぐ飽きるっていうの、あるあるですね!
そう思うとプレーンってすごいのかも。

夏休みできっとお忙しいことでしょう
お身体にお気をつけてゆるゆると頑張ってくださいね。
2017.08.07 Mon 16:43
Edit | Reply |  

Name - eriemama  

Title - Re: 続きだ~( ゚∀゚)

> お忙しそうですね…( ;∀;)
> お仕事も家のこともで暑くて、大丈夫ですか?
> 私はいつ夏バテするかヒヤヒヤしてます(笑)

こんばんは。
例年夏休みはそうなんですが、休みでも休めた気がしないという…(^^;)とりあえず深夜帯に頑張って起きていないと自分の時間が取れなくて、でもそれすると昼間の暑さに耐えられそうもなく(笑)…結局いつも身体優先で寝ちゃうので溜息しか出ません;;;;

> てか薪にゃん生き霊なのに霊に付いてっちゃったよ?(゚Д゚;)霊の方が上手か。ホンモノか。

生き霊とホンモノが対峙したらどうなるんでしょうね(笑)どっちが強い(←?)のかとかどの辺が違うのかとか全然詳しくないので、ほんと適当に書いていきますがすみません(笑)

> 続きは命日に合わせる感じですか?

いやいやいや…そんな華麗なフィニッシュはできるはずもなく(^^;;下手したら先に新章始まっちゃうかもしれない感じです(笑)
命日もすぐそこだというのにこんな時に限って関係ないアホなネタばっか浮かぶのは何故なんでしょうね?昨夜ボーッと考えていたのは薪にゃん一日署長になるの巻、でした。既に所長…。
2017.08.02 Wed 21:51
Edit | Reply |  

Name - なみたろう  

Title - 続きだ~( ゚∀゚)

お忙しそうですね…( ;∀;)
お仕事も家のこともで暑くて、大丈夫ですか?
私はいつ夏バテするかヒヤヒヤしてます(笑)

薪にゃん…行っちゃった…
心配です。青木いいい(;ω;)
てか薪にゃん生き霊なのに霊に付いてっちゃったよ?(゚Д゚;)霊の方が上手か。ホンモノか。

続きは命日に合わせる感じですか?
私もなんかしなきゃ。焦。
2017.08.02 Wed 00:15
Edit | Reply |  

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