GARDEN CITY LIFE~annex~

お越しいただきありがとうございます。当ブログは清水玲子先生の『秘密』のレビュー(時にネタバレ)と二次創作(こちらは一部BL要素含)のざっくり二部構成になっております。記事は単純に日付順に表示されておりますので、お読み頂く際はサイドバーや記事一覧などでカテゴリーをご確認またはセレクト頂けますと安心、安全です<(_ _*)>

さまようふたり② 

昨日にゃんたろーさんがご自身のブログでうちの残念コスプレ薪にゃん…いや、ハロウィン仮装バージョンの薪にゃんをイラスト化してくださいました。うれしーw

こちらです⇨ハロウィーン薪にゃん

あんなにふざけた話だったのに気に留めていただけただけで光栄です。見れば見るほど残念なことに色気はゼロですが、可愛さと健気さは健在です(笑)にゃんたろーさん、ありがとうございました(o^^o)

機会があればリベンジで誘い受けな感じの薪にゃんも書いてみたいものです(笑)薪にゃんのことだから今回は失敗したけど、きっとすぐ学習するでしょうね(^◇^;)次があるとしたら…あ、クリスマスか(笑)←安易

さて。もしコスプレの方(笑)を先にご覧頂いた方がいらっしゃいましたらあれは出来ますれば忘れ去ってください(。-_-。)。こちら、薪さんに「戻ってきたらまず報告書に目を通すから…な!!」と言わせた例の青木の報告がされる直前のイメージでございます。続きものでございます。原作で言うと6巻の岡部さんのお話の後に収録されているお話を参考にしておりますので、ああこの辺ね、と思っていただければ幸いです。でも、ここで一点だけ、ただし重要な注意が(笑)。これは原作とはかけ離れた妄想劇場です!すみません(;・∀・)レビューじゃないですよ!(^^;;






さまようふたり②

2062年4月 初旬



秋田の一家惨殺事件の捜査を担当し出してから、俺は頻繁に同じ夢を見るようになっていた。
薪さんにとっては警察キャリアとしても同期で右腕、そして腹心の友と言うべき存在だったらしい、かつての第九の副室長。鈴木さんは、同時に三好先生が愛した恋人でもあった。
その鈴木さんの意識と、自分の意識が溶け合う夢だ。夢を見ている自分が青木一行なのか鈴木克洋なのか、わからなくなるような夢。
薪さんが俺を「自分が殺した親友」に喩えたり間違えることはこれまでもあったけれど、今になってこんな風に俺がその存在に囚われているのは、きっと薪さんとのことに加えて三好先生とのことが俺の中の大きな部分を占めるようになってきたからだ。先生もまた、俺にあの人を見る人だから。

言葉を交わしたこともなければ、人となりも知らない鈴木さん。
その彼が大切にした二人はまた、どちらも彼のことをかけがえのない存在として大切に想っていた。
俺は鈴木さんに似ているのだと、よりによって彼の最も身近にいたその二人が言う――俺にとっても今は身近になった二人が。なのに当の俺は、自分のどこが似ているのか、彼の外見、見ていた世界を除くと比較のしようもないほど鈴木さんという人を知らなかった。言われてみれば確かに、見た目は似ていないこともない、と思う。でも、それ以外の共通点は見いだせない、好きや嫌いといった感情でさえまるで伴わない他人に、しばしば自分が重ねられる。それは今までに経験したことのない、奇妙な感覚だった。似ている、似ている、と言われると、まるで自己暗示にかかったようにそんな気がしてくる。ひょっとするとこういうところが似ているんじゃないか、鈴木さんなら、鈴木さんは…気がつくとそんな風に考え出す俺の意識は、俺のものであって俺のものでないような居心地の悪さを感じさせた。きっともう、そんなことはないと反発しながらも影響を受けてしまっていることに気付くと滑稽で、自分というものの脆さを露呈しているような気さえした。

資料の画像を繰り返し眺めながら、俺の思考はそのフィルターを一枚被せたような画面の中に深く沈みこんでいく。一体人間はそんなに簡単に他人の意識に同調するものなのだろうか。他人の行為や考えに影響を受け、善悪の判別も抵抗もなく殺人でさえ模倣できてしまうほど。それはそんなにハードルの低いものなのだろうか。もっと何か、飛び越えられないものがあるはずなんじゃないか――でなければ、何のための自我だというんだろう。それはそんなに簡単に揺らいだり、崩れたりするものじゃない。そんな風に簡単に侵されるものじゃないと信じたい。けれど俺がこの第九に来る少し前には、他人の記憶に感化され自ら命を絶った、或は犯罪者の闇に引きずり込まれ狂ってしまった人たちが確かにここにいた。鈴木さんもそうして銃を向けたのだ、誰よりも大切に想い守ろうとしたあの人に。
(……わからない)
そんな風に頭をよぎる不安を懸命に打ち消そうとする叫びにも似た感情のうねりは、まっすぐに俺の中の薪さんへと向かって行く。答えを求め、縋ろうとする。あの第九の危機ともいえる混乱を一人生き延びたあの人なら……そんなことを思う俺は、酷い人間なのだろうと思う。薪さんの傷を抉ってまで、自分が求める答えを得て解放されたいなんて。

以前衝動に駆られ見てしまった鈴木さんのMRIの断片は、今も俺の中で鮮明だ。俺の人生は薪さんを懸命に支えていた鈴木さんとは重ならない。人格も、経験も、嗜好も、取り巻く世界も何もかも。それは自明のことだというのに、それを思い出すといつか薪さんに言われたように、自分が鈴木さんの甦りのように彼の失われた人生の続きを生きている感覚に陥ってしまう。その人をなぞるように自分が消え、コピーになってしまったかのような実体のない不安に支配される。それは決して薪さんのせいではないと思いながらも、なぜ、とあの人に向けて問い続けているのだ…もうずっと俺は、いつもどこかで。
繰り返し見る夢は、そんな俺の不安と焦燥を象徴しているのだろう。
薪さんと鈴木さんの間に、薪さんと三好先生の間に、どんな感情が横たわっていたのか、俺には知る由もない。同じ人を好きになったけれど、鈴木さんと三好先生の間にあった感情や言葉のやり取りも、知るわけではないし知ろうとも思わなかった。立ち入るべきではないし、言い方は悪いけれど、今を生きている俺には、彼らの間にあった過去など関係のない話だった。巻き込まれるのを少なからず煩わしいと思う自分がいるのもまた否めない事実だ。苛立ちや罪悪感や、そんなものを感じる必要などない筈なのに、一方ではいつも鈴木さんと自分を比べて決断に自信が持てず、迷っている自分がいる。まるで俯瞰するように、冷静に他人の目でその行動の是非を正すように自らの内に向かい問う声。それは本当におまえの意志なのか。それがおまえの答えなのか、と。
(違うんですよ)
(薪さん、だって俺はあなたという人を知らなかった)
今だって、何も知らない。毎日のように顔を合わせ言葉を交わしていても、共にひとつの事件を追っていても、そこを離れたらもう。
(きっとあなたは、俺の知らない人だ)
なのにどうして、あなたはそんな目で俺を見るんですか。あなたが見ているのは、探しているのは――それは俺の中のどこにも、あるはずなんてないのに。

大きくひとつ息をついて、俺はデスクに広げた書類を手元にかき集めた。
何度考えても、やはり俺の思考はひとつの結論にしか辿りつかない。今までの見方をひっくり返すようなその考えを、俺は冷静に伝えられるだろうか。一切の今の感情を交えずにあの人の目を見て。



「帰らなかったのか」
低音の機械音だけが微かに響く中に不意にドアが開く音がして、聞き慣れた靴音が短い台詞と共に背後から近づいてきた。いつもなら振り返り、おはようございます、と自然に挨拶ができるのに、俺は固まったまま動けなくなってしまう。挨拶どころかまるでかけられた言葉を無視するように身じろぎさえしなかった俺を責めるでもなく、その人はすっと傍らを通り過ぎて行く。その気配が遠のいてから、握りしめた拳に視線を落としていた俺はゆるゆると顔をあげて声の主を窺った。
脱いだ上着をハンガーにかけ、持っていた新聞の束を手近なデスクの上に無造作に放り出すと、薪さんは俺の頭上を除き消してあった照明を順につけていった。まだ一般的な職員の出勤時間ではないが、それでももう朝なのだ、というぼんやりとした認識が湧き、俺は拳を緩めて小さく溜息をつくと壁の時計を見た。薪さんの出勤時間は常に早いけれど、夕べの帰り際に俺の煮詰まりようは見られているから、もしかすると気になっていつもよりさらに早く出勤してくれたのかもしれない。きっとまだ外は薄暗いだろう。
たかだか数時間ぶりでしかないというのに、普段通りパリッとした薪さんは随分遠のいて感じられた。さっき手放した新聞を再び手に取った薪さんは、表情もなく俺を一瞥し小さく吐息する。どうやらこの時、俺は相当にひどい顔をしていたらしい。
「熱心なのはいいが、あまり根をつめすぎるな。没頭しすぎるとかえって肝心なものが見えなくなるぞ」
「……はい」
まるでこちらの状況を見透かしたような薪さんの言葉に顔が熱くなるのを感じた。
この人は誰にもその中に踏み込ませないのに、こんな風に簡単に他人のことを見通してしまう。それがとても狡いと子供のように考えて、同時にそんな自分を恥じた。そして、どうしようもなく苛々する。この人が何を考えているのかわからず、いつまでも届かないだろう自分がもどかしい。
もっともそんな感情はMRI捜査という仕事をこなす上では大して重要ではない。上司の感情より、目の前の画像から汲み取れる情報の方がずっと大切で意味があるから…むしろ公の時間においては、俺が今縛られているような強い感情は邪魔なものだ。
なのに。
いつの間にか目の前のこの人の存在は、思うように進まない捜査よりも俺の気持ちを乱すようになっていた。
それはとても個人的な感情で、仕事上のやりとりによって生じた感情ではなく、そのことがますます俺を冷静でいられなくさせる。そもそも俺は鈴木さんのように、薪さんという人と私生活で接点があるわけではない。確かに見て、知っている光景はあるけれど…それはどれもモニターを通した画であって経験を伴った俺の記憶ではない。俺が知る過去の場面で薪さんとの間に感じたおぼろげな感情は、鈴木さんのものであって俺のものではない。それは三好先生とのことについても言えることだった。
(本当に……?)
いや、そもそもどこからどこまでが俺の感情で、どこからがあの人のそれなのか。
どうして俺はこんなにも会って話したことすらない他人を、これほど近くに感じてその影に囚われているんだろう。しかももう、その人はどこにもいないっていうのに――
「…青木、どうした。顔色が悪いぞ」
気がつくと、席を立ったまま俯き動けずにいた俺の前に立ち、薪さんがすぐ近くから俺を見上げていた。こちらを覗きこむ深い眼差しには憶えがあった。いや違う。あれは……あれは。

――どうした、鈴木?
すずき

「!!」
弾かれたように後ずさった弾みで、とん、とデスクに身体がぶつかった。その衝撃に我に帰る。これはあのモニターの中だろうか。まるで夢の中のように、あの息苦しい記憶の世界に自分が放り込まれたような気がして軽い目眩がした。
「……大丈夫か?目が真っ赤だぞ」
言って薪さんはまじまじと俺の瞳を無遠慮に覗き込む。俺は目を瞑ろうとして思いとどまり、逃げるようにそっと視線を逸らした。わからない。心配されているのは俺だというのに、別の誰かのような気がして、この人が見ているのが誰なのかわからなくて不安になる。目の前のこの人は、一体誰を見ているんだろう。この人には俺が、最初からずっと、ちゃんと見えているんだろうか。それは本当に俺なんだろうか。薪さんも俺も今までと変わらないはずなのに、何故、いつからこんなに気持ちが不安定になったんだろう。ほんの少しわかるようになったと、近づいたような気がしたばかりだというのに――あれは錯覚だったのだろうか。それとも、浅はかな俺の思い上がりだったのか。
誰よりもこの人に憧れてここを目指した。薪さんに少しでも近づきたかった。この人のようになりたいと思ってきた。そして実際に出会った薪さんは、想像していたように強くもあり、同時に思いがけず脆く繊細な一面も見せる人だった。そんな風に俺が追ってきた薪さんという人は、一体誰なんだろう。それは薪さんが見ていると感じる「青木」と同じくらい曖昧でいい加減なものな気がした。本当の俺は俺以外の誰の中にも、薪さんという人もあの人の中以外のどこにも、存在しないのだろうか。
「青木…?」
俺に向かって伸ばされたその細い手首を、こちらに届く前にそっと押し留めた。触れられるのが怖かった。そうするともしかすると人並みはずれて敏感な薪さんには、今の俺のこの動揺を悟られてしまう気がした。見られたくない。知られたくない。見たくない。俺は一体何にこんなに気持ちを荒ませているのか…つきまとう苛立ちの正体に、見当がつかないわけではない。でも、それより先は考えたくなかった。それはそれこそ俺には何の関係もないことのような気がした。何よりも、どこかで先に踏み込むのを制する自分がいる。
(俺には関わりのないことじゃないか――だって俺は知らないんだから)
「……本当に大丈夫なのか?休んでないなら今から少しでも」
俺の非礼はやはり咎めず、薪さんは人のことを案じる台詞を続けた。
「大丈夫ですよ、気にしないでください」
口に出したその言葉は、思いがけない棘を含んで随分素っ気なく響いた。取り繕うように浮かべた笑みは、自分でもわかるほど硬くなる。
「いえ…すみません。そうですね、ありがとうございます、少し仮眠を…報告はそれからでもいいですか」
ああ、と薪さんは短く応じて頷く。
「僕も二三確認しておきたい仕事がある。岡部たちがそろって、落ち着いてからでいい」
昨夜、眠れなかったのは確かだ。横にはなったが、目が冴えて眠ることはできなかった。それですぐに諦めて、またモニターに向かい合っていたのだ。俺が一礼して顔を上げると、薪さんは何か言いたげに一瞬だけ俺の目を見て、だがすぐにこちらに背を向け踵を返した。

鈴木さんの見ていた薪さんは、俺が今目にしている薪さんとは違う。それは俺にとってはずっと憧れだった上司である薪さんが、彼にとっては親友であり同僚だったという立場の差によるものが大きいのだろう。元々の目線が違うのだ。同じことは三好先生にも言えた。俺にとっての三好先生は、惹かれる人であると同時にそれ以前から尊敬すべき監察医だった。
捉え方は違う。なのに繰り返し見る夢の中で俺は、二人に向けられる鈴木さんの感情に、気が付くと同調している。だからこんなに不安になるのだ。自分を疑ってしまうのだ。
人は簡単に己を失くし流されたりはしない。そうだと信じたい。でももし、自分に影響を与えるものと同じ要素が、自分の中にあったとしたら――殺意には殺意が、慕情には慕情が呼応するとしたら……。
仮眠室に向かいながら、俺は鈍く痛むこめかみにそっと手をやって軽く目を瞑った。そうするとフラッシュバックのように、鈴木さんの見ていた二人の画が交錯する。
見えそうで見えない答えは、そこにあるような気もする。

俺の中では似ても似つかないように思える二人は、彼の中では驚くほどよく似ていた。




何言ってんだかわかんねーよ?ハイ、同感です(-。-;

早速の中だるみを披露して申し訳ありませんでした。中だるみのくせに長いねん…ヽ(`Д´)ノ
しつこいですが青木は苦手で、我慢して書いたのがバレバレ(笑)でも次の青木のターンは気に入っていてノリノリで書いたので、もう少しすっきりしていると思います。平に平に、お許しくださいませm(__)m

そしてさっき気づいたのですがカウンターが2万超えてしまった…(>人<;)
うちのカウンターはダブルカウントになってしまってるので延べ人数なのですが、これまでご訪問下さった皆様、さらっと言いすぎですが、心だけはめいっぱい込めて、ありがとうございます!2万のキリ番だった方には…ジャラジャラジャラジャラ…ジャジャーン!!‼‼

…って、もうバレてると思いますが何もございません、ごめんなさい(-_-;)
これからも一人一人が大切なお客様です、な心持で皆様をお迎えすることを誓います(←どこの店やねん…)。
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