GARDEN CITY LIFE~annex~

お越しいただきありがとうございます。当ブログは清水玲子先生の『秘密』のレビュー(時にネタバレ)と二次創作(こちらは一部BL要素含)のざっくり二部構成になっております。記事は単純に日付順に表示されておりますので、お読み頂く際はサイドバーや記事一覧などでカテゴリーをご確認またはセレクト頂けますと安心、安全です<(_ _*)>

薪にゃんと一緒(お風呂であったまろう編) 

※こちらリアルには2015年12月04日です(^^;)

ご無沙汰しております。更新していない間にも過去記事や以前のSSなどに拍手入れて下さった方、来てくださった方、ありがとうございます<(_ _)>

寒くなって来たので、あったかくなれそうなド定番、お風呂ネタです。今回はまだゆるめですがやんわりR表現含みますのでアレルギーのある方、対象年齢に満たない方、などよーく自問してアウトかな?と思われた方はご遠慮くださいませ(=゚ω゚)ノ




薪にゃんと一緒(お風呂であったまろう編)


ohuro.jpg



2日続けて大きな案件もなく、仕事が早く終わってしまった。いや、終わってしまった、なんていうのも変か。仕事がないのは世の中が平和な証なんだし。でも、だからたまには上司らしく職場の皆さんを誘って飲みにでも行こう、今日は週末で母が舞を連れて義兄の実家に行っているし、なんて決心したものだから、俺は知らなくてもいい現実を知ってしまったのだった。
というのは。
どうやら、俺は職場で嫌われているらしい。
そりゃあ新人に毛が生えたくらいの若造と言ってもいい全国最年少の室長だ。不満はあるだろうな、とは思っていたけれど…。
あの、良かったら今日飲みに行きませんか?というシンプルなお誘いをかけてみたのだが、皆一様に一瞬フリーズしてこっちをまじまじと見つめ、困惑気味に笑ってやんわりと断ってくるのだ。

「いや…すみません、今日はこれから歯医者の予約があって…」
あ、そうですか。それは仕方ないですね…。
「すみません室長、俺も実は今腰にきていて…一度ぎっくり腰やっちゃってるから怖いんですよね。なんでおとなしく帰った方がよさそうだなぁ」
ええっ?それは…ごめんなさい気が付かなくて。お大事になさってください。
「俺は明日早朝からゴルフなんで」
…はぁ。
「私、今夜はデートなんです」
「娘と約束が」
「かみさんに家で食べるって言っちゃいましたー」
………はい、そうですね、俺も帰ります(泣)。っていうかみなさん、俺のこと嫌いなら嫌いって言って下さい……。

確かに舞のことがあるから残業はするけれどそれが終われば直帰、という生活スタイルを続けさせてもらっているのは悪いなぁと思ってはいるんだけど。だからこその罪滅ぼしのつもりだったんだけど。
――時既に遅し。
だろうか。あの薪さんですらかつては部下に愛想を振りまいて気を遣っていたらしいっていうのに。俺、自己中すぎたのかな?仮にも室長なのに、プライベート優先しすぎた?

そんなことを考えていたら、いつの間にか家の前だった。今日は母と舞は出先で一泊で、帰らない。そんなこともないわけではなかったけれど、今日ほど誰かに家で待っていてほしい、と思う日もないような気がした。
「…ただいまー」
当たり前だけど、ドアを開けた先にかける声に応じる声は無い。…虚しいことをしてしまった。墓穴だ。
(あぁ舞…舞に会いたい)
この時間ならまだ余裕で起きているだろうから、いつもなら笑顔で走ってきてくれてそのままハグ、イヤなことは全部リセットできるのに…。
(…なんて、女々しいなー、俺)
こんなとこ、あの人に見られたらなんて言われるか。そう言えば、ここの所薪さんはずっと会いに来ない。確か海外出張が入っていたはずだから仕方がないんだけど、舞にも薪さんにも見放されたようで、なんだか心に木枯らしが吹きこんできたような気がした。
コートを脱ぎながらキッチンでお風呂のお湯はりボタンを押し、自室に向かう。サイドボードの上にかかったカレンダーを見ると赤い矢印の下にオーストラリア、と薪さんの出張先がメモしてある。
(遠いなぁ。赤道の反対側じゃないか)
さすがにそれじゃあ会いに来て欲しいとも言えないな、と苦笑が漏れる。香港とか台湾なら言うかもしれない自分がちょと怖いけど…自制しよう。
コートをハンガーにかけるとキッチンに戻り、手を洗って帰り道のコンビニで買って来たおにぎりと惣菜のパックを開けると、立ったままで適当につまむ。家の中は静まり返っていて寒く、慌ててエアコンのスイッチを入れてテレビをつけた。冷蔵庫の運転音だけが響いている家の中は無音の状態よりたちが悪くうら寂しい。ゴールデンタイムのにぎやかなテレビ番組の音が響きだすと、ちょっとだけほっとした。…でも。
(あれ?)
今なんか、お風呂の方で物音がしたような…?いや、物音っていうか、水音?
バシャッ、という水をかけるような。
(けど、うちじゃない…よな)
だって今うちは無人で、俺の他には誰も――
誰も……
いや。いやいやいや。
(まさか)
おにぎりの最後のひとかけを頬張ると、俺は肩越しに浴室の方を振り返り、一度深呼吸をした。待て。さっき部屋で確認した時、薪さんの出張はいつまでだった?
(明日?今日?それか、もしかして昨日帰って来てるとか?)
急いで手を洗い、そのまま風呂場へ直行――しそうになって、はたと立ち止まった。
待て俺。
不審者を想定して一応バットとか用意するべきかなのかな?…ないけど。
それに、仮に中にいるのが神出鬼没が常の薪さんだったとして。ひと思いにドアを開けたところで自分ちなんだし痴漢とかにはならない…よな。でも、しずかちゃんのバスタイムを覗いたのび太よろしくお湯くらいはかけられるかもしれないからここは傘かレインコートを用意するべきなのか?それかいっそ、濡れてもいいように裸で入るのが正しいのか?…そっちの方が変態?
(とりあえず、このまま見に行こう)
もぐもぐと口を動かしながらネクタイを緩め、ズボンのポケットから財布やスマホを出してテーブルに置くと、俺は逸る心を抑えながら風呂場へと向かった。スリガラスの向こうには灯りがついている。そして、じっと立ち尽くしている俺の耳に、チャプン、と確かに中で響く水音が届いた。
「……」
薪さん?
そう口を開きかけたが、声にならない。でも、開きかけた口許が自然とほころんでくるのは自分でもわかった。
(――薪さんだ)
いくらなんでもお風呂に浸かって住人の帰りを待っているような呑気な泥棒はいないだろう、うん。
俺は思い切ってドアの前に進むと、コンコン、と軽くノックをしてそれを押し開けた。
「失礼…しますね」
そおっと顔を出して中を覗けば、湯船の中にその人の姿はあった。
気持ちよさそうに肩までお湯に浸かっていたいつもの猫耳をつけた薪さんは、湯気の向こうからゆるりと首を巡らせてこちらを振り向いた。目が合うと、やわらかく笑んでみせる。
「やっぱり薪さん…!帰って来たんですね」
「ああ、さっきな」
「え?さっき?」
「そう。どうせならこっちでひと風呂浴びようと思って帰宅してすぐに来てみた。おまえん家、今日は誰もいないんだろう?」
何でそれを…って。
(あ!)
じっと薪さんの方を見ていたから気付くのが遅れたけど、落ち着いてみれば湯船のお湯が白濁している。うちは入浴剤の類は入れないから、薪さんが持参したんだろうけれど、随分用意がいいものだ。
いや、むしろそれはどうでもいいんだけど。
「薪さん、もしかして今日もモフモフ…ですよね?そのままお風呂に?」
その白いお湯、毛がいっぱいなんじゃ…笑顔が引きつりそうになる俺を一瞥すると、薪さんはハァ、と情けなさそうに一息ついてバシャッと両の手をお湯の中から出して目の前で掲げて見せた。
(あ、あれ?)
人の手?
「安心しろ、モフモフもしっぽもついてないから。それより青木、寒いからさっさと閉めて入ってくれ」
「わっ、すみません!」
言われてハッとドアを開け放して喋っていたことに気付く。俺は浴室用のスリッパをはくと、ドアを閉めて中に入った。
「…手、そんなこともできるんですね。耳はそのままなのに」
「ああこれ?」
薪さんはくるっと大きな目で上の方を見ると、手を伸ばして猫耳にそっと触れた。
「これなら――」
「?」
見守る俺の前で、よいしょ、と薪さんは耳の付け根の辺りをもそもそと触った。するとぐらぐらと耳が前後に揺れて…え?揺れ…?で、次の瞬間――
「ええっ!?」
カパッ、と持ち上がった猫耳に唖然とする俺には構わず、薪さんは取り外したそれをホレ、と面倒くさそうに寄越してきた。
「外に置いといて」
まさかの。
(――カチューシャー!!)
ええっと。つっこみどころが絞り切れないんですけど…。
けどとりあえずこの時間に目の前にいるってことは、いつもと同じお化…いや生霊の方の薪さん?
「こうでもしていないとお前が現物と勘違いするんじゃないかと思って、僕なりに配慮してみた」
「それはどうもご丁寧に…」
「まぁ別に、現物ってことでも支障はないけどな」
「……はぁ」
カチューシャに目を落として黙り込んだ俺を、青木、と薪さんが呼ぶ。
「はい」
目を上げると、おかしそうにクスッと笑う薪さんと目が合った。会いたかった人――そうだ、薪さん。ようやくじわじわと久しぶりの再会を嬉しく思う気持ちが胸の中に広がって、俺は薪さんに微笑み返しながら「お帰りなさい」と言ってバスタブに手を着くと、こちらを見上げている薪さんに口づけた。
「ただいま」
「でも、まずはお風呂より会いに来てくれないと。びっくりするじゃないですか」
いつもいつも、どうして普通に登場してくれないんだか。
「だって帰ってきたら日本は寒いし…おまえも入るだろ?」
「ええまぁ。ええっと、ご一緒しても?」
「うん、待ってる」
うう、カワイイ…、待ってるって!もう一回言ってください!
「早くしろ、もたもたしてたら出ちゃうぞ」
……ハイ。

※  ※  ※  ※

シャワーで身体を流していると、薪さんは湯船の淵に両腕を乗せ、おまえ今日は早いんだな、と声をかけてきた。
「ええ…本当はちょっと飲んで来ようかな、なんて思ったんですけど、皆さんにフラれちゃって。まぁ結果的に早く帰ってきてよかったんですけどね」
そう応じながら、俺は帰り際の経緯をざっと話す。薪さんは時折お湯を掬い上げては掌から零れ落ちていく様を見るともなく眺めながら、ふーん、と言って薄く笑った。
「それはおまえ、嫌われてるっていうより気を遣われたんだろ。普段から気兼ねしてるのがバレバレだから無理してるように見えたんじゃないのか?」
「そうでしょうか?」
「そうだろ。ま、嫌われてるよりはましなんだし、そういうことにしておけ」
どうやら微妙に慰められているらしい。嬉しいような悲しいような複雑な心境だけど、ありがたくその不器用な気遣いを受け取ることにして、俺はシャワーを止めて薪さんの方に向き直った。すっと湯船の中にいた薪さんが端の方に寄ってスペースを作ってくれたので、そこにゆっくりと身体を沈める。俺が湯船につかると一気に溢れ出すお湯の勢いにプッと吹きだして、薪さんはおまえちょっと痩せた方がいいんじゃないか?などとひどいことを言って笑った。
「まだ横には伸びてないですよ?単に縦に長いだけです」
「…ぬるくなっちゃったじゃないか」
今度は溜息と共にそんなことを言う薪さんの手を取るとそれを自分の
両手で包み込み、俺はさっきからチクチクとイジメてくるその減らず口を自分の唇で塞いだ。
「ん……」
目を閉じてそれを受け止めていた薪さんが、窮屈そうに身じろぎして俺の手を振りほどく。唇が離れると同時に身を引いた俺の元に飛び込むようにして抱き付くと、胸に頬を押し当てた薪さんは、会いたかった?と短い問いを投げてきた。
「そこ、疑問符はいらないんじゃないですか」
「…いるだろ?僕が訊きたいんだから」
「そうですね…恋しかったです。会いたかったですよ?」
「そうか」
…そうかって。相変わらず素直じゃない。でも嬉しそうに微笑んで俺の言葉を受け止める薪さんを見ていると、きっとそれは俺だけの気持ちじゃないって思えるから満足してしまうのだ。
「薪さんは?」
首の後ろに回された細い腕の感触や、なめらかな髪に顔をうずめた時の香り。
ほんの少し会わなかっただけなのに、すべてが懐かしく一層愛しさを増して感じられた。
これ以上ないほど近くで肌と肌をぴたりと合わせ抱き合っているのに、もっと深く重なりたいとふたりの間を埋めたくなる。
「…僕も会いたくてたまらなかった」
「薪さん…」
熱に浮かされたような潤んだ瞳が俺を見上げる。いつもの猫耳がないせいでやっぱり色っぽさが倍増して見える薪さんを前に、身体の奥が疼く。しばらく見つめ合った後、どちらからともなく愛の言葉を注ぎ合うかのような深い口づけを交わし合った。片方の手で薪さんの柔らかい髪を梳きながら頭を撫で、もう片方の手でなめらかな肌をまさぐり指先で身体中を愛撫する。次第に息を荒げてきた薪さんの身体からは俺の身体に総てを委ねるように力が抜け、耐えかねたようにその頭がこつんと俺の肩に乗った。熱を帯びた呼気が首筋にかかり、ぞくりとする。
(ダメだ、止まらない)
切羽詰った俺のものが当たったのだろう。察した薪さんはほんの僅か身体を浮かすと、それに手を添えて確かめるように撫で上げた。
「青木…来て」
顔を上げた薪さんの双眸がこちらを覗き込み、微かに掠れた声はねだるように俺を誘う。
「でも…」
まだそういう風にひとつになったことはない。正直薪さんの身体の負担を考えると、いいんだろうかという気がして踏み切れずにいたのだ。
「いいから、早く」
「けどまだ身体だって洗ってないですし…ちゃんと準備した方が」
「もう待てない…お願いだから」
「いや、待てますよ、待ちましょう?俺がすぐに洗ってあげますから…ね?」
ポンポン、と頭に手をやりそう宥めると、薪さんはようやく身体を離して、けれどもこれ以上ないほどムスッと恨めしげにむくれてしまった。
「……一週間待ったんだぞ」
「はいはい、それはお互い様ですよね?ほら、早く出て下さい」
「僕はいいから先におまえが洗え」
背中を押して促したものの、薪さんは逆に俺の身体を外の方へ押しやると、ブクブクと鼻の辺りまで湯船に沈み込んでしまった。
「え?でももう結構長い間入ってますよね?のぼせちゃいますよ?」
寒くなってきたとはいえ、かなりの長風呂だ。
「俺、湯温は高めですし…」
「いいから」
ぐい、と薪さんがしつこく俺の足を蹴ってくるので、仕方なく先に出ることにして立ち上がり――立ち上がりざま、ふと視界をかすめた何かに俺は首を傾げた。
「…?」
今、何かお湯に吸い込まれるように沈んで行ったような?
薪さんは相変わらず深くお湯に埋まったまま。でも、俺が立ち上がったせいで湯量はずいぶん減って、首のあたりまでになっている。そして、その向こう側でちゃぷんとまたお湯が跳ねた気がした。そちらを見ると、薪さんの身体からは少し離れた水面に小さな波紋が浮かんでいる。
(ん?)
気のせい…ではない。
「……あの、薪さん……?」
手も足も人のもの。猫耳もフェイクではあったけれどまさか。湧き起ったひとつの予感に、俺はじっと上目遣いにこっちを見上げている薪さんとの間合いを詰めていく。
「後ろ向いて下さい」
「ヤだ」
「薪さん!」
「ヤだって言ってるだろ!」
仕方なく、俺はウナギのつかみどりよろしく入浴剤で白濁した湯船に両腕を突っ込んだ。薪さんの背後を、思いきり身体を曲げて狙う。
「コラ!」
「わっ!!やめろってば!!」
バシャバシャとお湯が跳ねる。逃げようとする薪さんが俺の脚につんのめって沈みそうになるのを片腕でキャッチしながら、もう一方の手で「そこ」を目指すと――
「やっぱり!」
あった。いつものモフモフはお湯を含んでずっしりと重みを増していたが、本物だ。念のため軽く引っ張ってみると確かな手応えがあった。
「何すんだ引っ張るなよ!」
「薪さんこそ何嘘ついてるんですか!さっきしっぽも無いって言いましたよね!?」
「だからそれはうっかりだな――」
「だったらなんでこの白いお湯なんですか!」
うっ、と言葉に詰まって俺の腕にしがみつきながら気まずそうに顔を背ける薪さんを見下ろし、俺は深々と溜息をついた。
(…まったく)
子供の悪戯じゃあるまいし、隠すことなんてないのに。…そりゃあ湯船が毛だらけになるのは多少迷惑な話ではあるけれど、しっぽだけなら被害は知れている。
「ちゃんと言ってくれなきゃ。嘘は無しですよ?」
「……ごめん」
態勢を崩した上体を起こしてバスタブの中に正座すると、薪さんは俯いて小さく呟くように謝罪した。
「しっぽだけは駄目なんだ。これがないとここには来られないから」
「え?そうなんですか?」
どういう掟なんですかそれ。…だったら仕方ないですけど全く初耳です。
「……わかりました。さ、もういいから早く出て洗いましょう?」
「うん」
今度は素直に頷いてくれた薪さんの手を引いてお湯から上がると、俺はボディソープへと手を伸ばした。

※  ※  ※  ※

薪さんを先に出していたのでどうしてるだろうと気になって、急いで髪を拭きながら部屋に戻った。ドアを開けてまず目に飛び込んできたのは、グルグルと毛布を体に巻き付けて床にぺたんと座り、じっと待機している薪さんの姿だった。これが本物の猫ならお利口さんでした、とでも言うところなんだけど…毛布の裾の方を見れば、脛から下の足としっぽの先がのぞいている。前は合わせていたが、鎖骨の辺りの肌も見えた。
「薪さん、服は?」
そう言えば脱衣所にそれらしき服は無かった。…なんで?
「どこで脱いだんですか?」
もしかしてここか?でも何も…無い、よな?
「ん?僕の部屋だけど」
「ああ薪さんの……って、ええっ!?」
そ、それってまさか真っ裸でここへ!?
「ん、直行だったから。どうせならこっちで入るかと思ったって言っただろ」
「でもそんな恰好で…寒くなかったんですか!?」
「いや、別に素っ裸で寒空の下を何時間も飛んできたわけじゃないから。それじゃ変態だろ」
……裸でひとん家のお風呂に瞬間移動しちゃうのはもう紙一重だと思うんですけど…ま、まぁいいです。とにかく何か着ないと。俺はきょろきょろとあたりを見回した。確かどこかに昨日羽織ったカーディガンがあったような。いや、それより下着か?トレーナーとかの方がいい?
うろうろしていると、背後でクシュン、、と小さなくしゃみが聞こえてハッとした。
「大丈夫ですか?風邪ひかないで下さいよ?」
「大丈夫」
慌てて振り向いた俺をおかしそうに見つめながら、薪さんは毛布の前を合わせなおす。
「もうしっぽは大体乾いたから、ベッドに上がっていいだろ?」
「ああ、ハイ…そうだ、布団に入っててください。俺の服だとサイズが合わないだろうけど、何か探しますね」
「服はいいから、ちょっとこっちへ」
「何ですか?」
言われたとおりに歩み寄ると、ベッドの上に毛布にくるまったまま座り込んでいた薪さんは毛布の中から手首より先だけを出して来い来いと手招きをする。引き寄せられるようにそっちへ顔を寄せると、クスッと悪戯っぽい笑みが浮かんだ。
「?」
俺がきょとんとしていると、唐突に薪さんは身体を包んでいた毛布をパサッと脱ぎ捨ててベッドの上に膝立ちになる。すべてが露わになったその姿にドキッとした俺が虚を突かれて固まっていると、青木、と呼びながらまっすぐに伸びたその手が俺の腕を掴んで引き寄せた。その力は決して強いものではなかったが、不意のことに身体を持って行かれてしまい、接近した唇をそのまま軽く合わせると、息がかかるほどの至近距離から色素の薄い澄んだ瞳が俺を真っすぐに捉えてきた。その力に魅入られて、そのまま動けなくなる。
「服はいいから、早く…あたためて」
吐息のような声が俺を誘う。湯上りの艶っぽさも加わり、その誘惑に迷うことすらできず気がつけば完全に薪さんの掌中に落ちていた。かき抱くように一糸纏わぬ細い身体を抱きしめ、押し倒すようにベッドに飛び込む。夢中で少し冷えてしまった肌に唇で熱を与えていく。肌が火照ってくるのとともに次第に荒くなってくる息遣いに薪さんの興奮を再び感じた。



(すみませんダラダラ長いので続きます)





昨日から風がむちゃくちゃ強いですネ!突風や高波に気をつけてくださいネ!←誤魔化したつもり
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Comment

Name - eriemama  

Title - Re: きゃーちがうんですよっ

> アートと青木の接点を考える楽しみができたという意味で、SSがようやく楽しく思えてきた…っていう意味じゃないんです!ちがうちがうちがう!;;;;;;

あ、違ってた(笑)すみません(^^;;

> 私、男男でも、男女でも、女女でもなんでも楽しいです。←女女ってなんだよ!
> 逆に男男じゃないと!っていうのは確かによくわかってないけど…( ̄▽ ̄)

(^◇^;)私もどっちかと言えばそうかな。特にこだわりがあるわけではないんですけどね、基本
薪さんが幸せで薪さん愛があればいいの、って感じです。

> でも私コメントしすぎてきもいな〜とは思うので、お休みできそうなとこはお休みしますね…(笑)
> でもアートは見過ごしておけなかったので……!!

しすぎできもいって(笑)そりゃ私も身につまされますわ〜;;;;
気が向けば絡んでやってください(笑)気楽が一番一番。
2015.12.05 Sat 21:12
Edit | Reply |  

Name - eriemama  

Title - Re: 衝撃の新事実!

> ななななんと、薪にゃんの耳が取り外し自由自在のカチューシャだったとは!

なんか予想外にここに皆さんの反応が集中してる???(笑)
でも猫耳カチューシャはですね、あくまでもお風呂だけのための期間限定、普段の通い妻薪にゃん(←?)の耳は…
安心してください!生えてますから!(笑)

> 小説にイメージ写真をつけるとか某ブログさんの影響かな? やっぱり写真があるとイメージふくらんでいいですね。

フフフ(笑)自分で撮ってこいよって言われそうですが、あんまりにも文字ばかりの白黒の世界なのでうんざりしてるんです(⌒-⌒; )今のテンプレはまだ色入ってますけど、前のなんてモノトーンだったからひどかったでしょ?(^^;;これも今回限りだと思いますけどね(笑)

> 新装版が発表されたら、夢にまで見た腕が表紙の2巻を酒の肴に読みますね。(お酒飲めないけど…)

そっか2巻青木の腕か(←もうちょいマシな言い方してー)
青木に抱かれたい、とかは天地がひっくり返っても言いませんが、あの腕は私もいいと思う!
でも同じたくましい腕ならやっぱ鈴木さんの方が…ってもういいですか?(^_^;)
2015.12.05 Sat 21:04
Edit | Reply |  

Name - ゆけ  

Title - きゃーちがうんですよっ

アートと青木の接点を考える楽しみができたという意味で、SSがようやく楽しく思えてきた…っていう意味じゃないんです!ちがうちがうちがう!;;;;;;
おもしろいですよ元から!
私、男男でも、男女でも、女女でもなんでも楽しいです。←女女ってなんだよ!
逆に男男じゃないと!っていうのは確かによくわかってないけど…( ̄▽ ̄)
あと、そのへんのチンピラに薪さんが陵辱されるっていうのもよくわからない……
あっこれは内緒のお話だった;;;
でも薪さんには青木じゃないと、っていうのはいいんですよ。
薪さん、エレナみたいなもんなので(笑) 魅惑〜

でも私コメントしすぎてきもいな〜とは思うので、お休みできそうなとこはお休みしますね…(笑)
でもアートは見過ごしておけなかったので……!!
2015.12.05 Sat 17:54
Edit | Reply |  

Name - たきぎ  

Title - 衝撃の新事実!

ななななんと、薪にゃんの耳が取り外し自由自在のカチューシャだったとは! いやこれはもう、上だけなら薪にゃんなのか薪さんなのかの区別が…青木ってばよく我慢できたな…それどころか服を着せるとは(笑)。さすが天使。

小説にイメージ写真をつけるとか某ブログさんの影響かな? やっぱり写真があるとイメージふくらんでいいですね。

「僕薪にゃん、ギューっと(夢にまで見たその二の腕で)抱きしめて!」編も楽しみにしてます。
新装版が発表されたら、夢にまで見た腕が表紙の2巻を酒の肴に読みますね。(お酒飲めないけど…)


  
2015.12.05 Sat 16:59
Edit | Reply |  

Name - eriemama  

Title - Re: びっくらぽん!

> で、素っ裸で移動しちゃうんですね、謎の移動だけれど。薪さん家のいったいどこと繋がっているのか。って本体はどうしてるんだっとか、生霊化しちゃうのかとかもう謎が謎を呼ぶんですけど、そんなことどうでもいいくらい(ごめんなさい)、面白いです。楽しいです。

謎ですよね(笑)もうエスパーなんだか幽霊なんだかアンドロイドなんだかw←?
そうそう、本体はね、いっつもベッドでぐっすり(ぐったりか?)なイメージなんですが。
今回はパジャマ着なかったんですね、きっと(笑)

> またいつにもまして今回は更に素直でかわいい薪にゃん。青木くーん、なんかすっかり余裕。薪にゃん手なずけてますね。「1週間も待った」とか、こんなかわいいこと言ってくれるようになって。

フフフ、ほんまに大人しく待ってたんだか(^^;;

> 続きが気になります、けど、年賀状も年末もろもろも忙しくなってきますよね。冬休みも近づくし←急に現実感…
> おばちゃんもゆっくり待ちますわ、「僕薪にゃん、ギューっと抱きしめて!」編を。

そうなんです〜( ; ; )年賀状は義父に頼まれて多分やり切ったら糸が切れた(笑)
もうすぐ懇談とかで娘も早く帰ってくるし、そしたら放課後ワイワイガチャガチャになりそうやから
今のうちに、と思うんですけどね、忙しくなればなるほど余計なことをしたくなる性分なもので…(・・;)
なんでこうカレンダー1枚になると忙しないんでしょうかね…。

オラフ編(仮)、新装版発売までにはなんとか(^^;;書きたいです…
2015.12.05 Sat 13:33
Edit | Reply |  

Name - ヤマネ  

Title - びっくらぽん!

うはっ。
どこまでもいっちゃって欲しい二人ですわ、もう。
か、かちゅーしゃぁ?もふもふはずせるんですかぁ。でもしっぽがないとこれないって。楽しいなぁ。
で、素っ裸で移動しちゃうんですね、謎の移動だけれど。薪さん家のいったいどこと繋がっているのか。って本体はどうしてるんだっとか、生霊化しちゃうのかとかもう謎が謎を呼ぶんですけど、そんなことどうでもいいくらい(ごめんなさい)、面白いです。楽しいです。

またいつにもまして今回は更に素直でかわいい薪にゃん。青木くーん、なんかすっかり余裕。薪にゃん手なずけてますね。「1週間も待った」とか、こんなかわいいこと言ってくれるようになって。
続きが気になります、けど、年賀状も年末もろもろも忙しくなってきますよね。冬休みも近づくし←急に現実感…
おばちゃんもゆっくり待ちますわ、「僕薪にゃん、ギューっと抱きしめて!」編を。
2015.12.05 Sat 11:35
Edit | Reply |  

Name - eriemama  

Title - Re: あははははは!

> …ごめんなさい…( ▽`;)…でも……
> 据え膳に服着せるんだ!(笑) さすが青木!やりそう!

何がしたいんでしょうね、彼は(笑)

> しかも、下着かトレーナーか悩むあたりが、なんかアートを思い出しちゃって…
> ベンジャミン&アートだーーー!←おい

あ!うっすらパロったからバレないと思ったのにバレてるΣ(・□・;)
毛布巻き巻き薪にゃんの辺りはすこーしベンジャミンとアートを意識したんですよ(笑)
あのバタバタしてるふたり面白くてw

> そっか、今まで思ったことなかったけど、アートから毒を抜くと青木になるのかもしれないですね。メガネだし……

アートから毒って(^◇^;)
でもそうですねー、アートをお行儀よくお利口にした感じかな?青木って…←それ別もんやないの

> なんか楽しくなってきたかもしれない……(笑)

ごめんなさい;;;;;
ほんまに原作のイメージぶち壊してると思うので、無理!って思ったらスルーしてくださいヨ???(^^;;
2015.12.05 Sat 06:50
Edit | Reply |  

Name - eriemama  

Title - Re: 余裕だな、青木!

> 青木くん、余裕ですな!!

人間余裕がなさすぎると余裕綽々に見えるのかも?(笑)

> 薪にゃんが誘ってるんだぞ!さっさとや………
> じゃない、あっためてあげなさい!!

ええ、早くにゃんにゃ…ゴニョゴニョ。や、なんでもないです(^_^;)
薪にゃんが湯冷めする前にとりあえず体温分け分けしないとね(←かわいく言ってみたつもり)

> そんなわけで続き楽しみにしています

ありがとうございます〜。まだ真っ白なのですが(笑)
ルミナリエとニフレル行ったら書こうかな…ああ年賀状が遠のく(笑)←優先順位!

> それにしてもカチューシャすごい。
> そして尻尾はどんな仕組みになっているのか……

ウハハ、仕組みってwww
もう生き霊じゃなくてアンドロイドか何かみたい(笑)
どこまでがモフモフなのか?いつもの耳はホンモノやったんか?などなど謎が多いうちの薪にゃんなのでした(・・;)
2015.12.05 Sat 06:41
Edit | Reply |  

Name - ゆけ  

Title - あははははは!

…ごめんなさい…( ▽`;)…でも……
据え膳に服着せるんだ!(笑) さすが青木!やりそう!

しかも、下着かトレーナーか悩むあたりが、なんかアートを思い出しちゃって…
ベンジャミン&アートだーーー!←おい
そっか、今まで思ったことなかったけど、アートから毒を抜くと青木になるのかもしれないですね。メガネだし……
わー新発見。ありがとうeriemamaさんっ
なんか楽しくなってきたかもしれない……(笑)
2015.12.05 Sat 04:32
Edit | Reply |  

Name - ねこじゃらしにゃんたろー  

Title - 余裕だな、青木!

青木くん、余裕ですな!!
薪にゃんが誘ってるんだぞ!さっさとや………
じゃない、あっためてあげなさい!!

そんなわけで続き楽しみにしています

それにしてもカチューシャすごい。
そして尻尾はどんな仕組みになっているのか……
2015.12.05 Sat 00:13
Edit | Reply |  

Name - eriemama  

Title - Re: あまーい!(≧▽≦)

> おじょおちゃん!!(°▽°)
> 覚えてるかい?おじさんだよ?

覚えてるわおじ様!(°▽°)ついでに紙芝居のおじさん、の姿は官能小説家の顔を隠すための仮のお姿だってこともまるっとお見通しヨ!^_−☆

> やっぱり大したもんだねこの娘は!おじさん興奮しちゃったよ?

えっホント?こんなに青臭いお話でも興奮して下さるなんてさすがおじ様!♪( ´▽`)
私なんておじ様の足元にも及ばなくてヨ(>_<)

> しかしアレだねこの青木って野郎は薪にゃんに誘われてるのにさっさと押し倒さねえか?着替えとかもういーんだよ!

そうなの!着替えなんてたいした問題じゃないのにきっとテンパったのネ!あの薪にゃんがカモ〜ン(^ー^)ノなのにまったく何してるのかしら(。-_-。)じれったいんだから…

> まあ薪にゃんの魅力には抗えねえよ?
> 続きが楽しみだねえ~(≧▽≦)

ウフ(o^^o)
次回は「僕薪にゃん、ギューっと(夢にまで見たその二の腕で)抱きしめて!」編ヨ!お楽しみに♪←オラフか

※色々冗談ですヨ!o(^_-)O
2015.12.04 Fri 22:06
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Name - なみたろう  

Title - あまーい!(≧▽≦)

おじょおちゃん!!(°▽°)
覚えてるかい?おじさんだよ?
やっぱり大したもんだねこの娘は!おじさん興奮しちゃったよ?
しかしアレだねこの青木って野郎は薪にゃんに誘われてるのにさっさと押し倒さねえか?着替えとかもういーんだよ!
まあ薪にゃんの魅力には抗えねえよ?
続きが楽しみだねえ~(≧▽≦)
2015.12.04 Fri 21:16
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