GARDEN CITY LIFE~annex~

お越しいただきありがとうございます。当ブログは清水玲子先生の『秘密』のレビュー(時にネタバレ)と二次創作(こちらは一部BL要素含)のざっくり二部構成になっております。記事は単純に日付順に表示されておりますので、お読み頂く際はサイドバーや記事一覧などでカテゴリーをご確認またはセレクト頂けますと安心、安全です<(_ _*)>

映画『海街diary』感想 



実は先月レンタル開始と同時に見るぞ!と意気込んで借りたものの、色々と立て込んでしまい見ることができないまま返却に行ってしまった映画『海街dairy』を、ちょっと前に再度レンタルしまして、見事(?)リベンジを果たしました( ^ω^ )

『秘密』ほどではないにせよ、原作はかなり大好きな漫画です。キャスティング発表時にはうーん、と唸ったりもしたのですが、蓋を開けてみると意外や意外、イメージに一番そぐわない気がしていた長女幸役の綾瀬はるかちゃんが良かった(^^;;見終わってから、キャスト発表時にはええーっ、違う!とか言ってごめんなさいって思いました(笑)今やってる火村せんせーのドラマもアリス役の窪田くんが意外とハマっていてあらら?だったしこういうのはほんと見てみるまでわからんものですね。役者さんってすごいわ(笑)
雰囲気や髪型は原作の幸とは全く違うと思うんですけど、なんだろう…遠くなかったです(^_^;)他の3人も、四姉妹それぞれいい味を出してたと思う。

それと忘れてはいけないのが周囲をかためるベテラン女優さんたちの素晴らしい演技(゚∀゚)
樹木希林さんや風吹ジュンさんは勿論なんですが、三姉妹の母役の大竹しのぶさんの好演に一番参りました。幸との間にある複雑な愛憎を台詞そのものより言い回しや微妙な表情、仕草だけでここまで表現できる人っていないと思う。脱帽です。私はこの三姉妹の母がどうやら結構好きなんですよね(笑)なのでどうしても注目してしまうわけですが、大竹さんの許せないけど憎みきれない「ズルくてどうしようもない」母ぶり(←あ、演技のことですよ?)ったら(笑)。幸と行ったおばあちゃんのお墓まいりでの「出来の悪い娘で」っていうとことかはもう、悶えそうでした(笑)
女の狡さを体現しているような感じ(^_^;)娘としての頼りなさや愚かさと母としての不甲斐なさは別物なんだけど、彼女の中ではふたつが同居していて、それをそのまま隠さずにしっかり者の娘に甘えるように晒してしまうから卑怯なんだよなぁ、と思うんですよね。親とはいえ一人の人間だから弱いところはあって当然、でもそうなのごめんなさいねなんて開き直って言われちゃったら子供としてはもう何も言えないじゃないですか。自分の中に憎しみも愛情もぶつけられないまま内包して生きていくしかなくて…幸はきっと、そういう母親に「母」を求めることを真面目さと優しさから自身に禁じてしまって、自分でその役を担っちゃったんじゃないかなぁ。
下に兄弟がいると上の子ってずっと一番だった座をその誕生と同時に手放さなきゃいけなくて、兄弟が生まれるたびにどんなにいい親子関係だろうが母親を取られちゃうような経験をするわけですけど、そういうところでも幸が一番母親を失う経験をしているわけだから、母親が家を出た、というのはなおのこと許せない、痛い経験だったのではないかと思います。

ちょっと横道に逸れましたが、うまい具合に無理なく仕上がっていた映画全体の話に戻りますと…。
もちろん映画なので原作の濃密で結構複雑な人間関係(とにかく登場人物が多い)全てをスクリーンに持ってくるのはまず無理やろうなぁ、と(笑)、その辺りどうなるのかなー、と思っていたんですが。
主軸には幸とすずの関係を持ってきて、関係の薄いエピソードはいくらいい話でもカットしちゃうっていう思い切ったストーリー展開にしたところが、結果的には作品のメインテーマを損なうことなくクリアに浮かび上がらせていたように思います。こういう雑音(いやどんな隙間のエピソードも素晴らしいんでこう言うと語弊があるんですけど言葉のあやです)を取っ払ったアレンジも思い切りが良くて映画ならありだな、と思えました。そぎ落とすところを間違っちゃうと話が見えなくなって何が言いたいねん、という締まりのない話になることもあるし、かと言って全部を詰め込みすぎると細部が中途半端で結局話がわからなくなりがち…。この塩梅が、さすが是枝監督、でございました。端折っても『海街』は『海街』だった…(すごい!)。

亡くなったお父さんやおそらく姉妹に様々な影響を与えたおばあちゃんが原作と一緒で登場せず、あくまでも姉妹たちによってエピソードや残してくれた言葉が語られるだけだった、というところにもホッとしました。中途半端に回想なんかで登場されたら、がっかりしたと思うんです、一気に想像の余地がなくなって(笑)
本作でキーとなるお父さんについては特に、登場しないからこそ幸たちの中にある心象が少しづつ変化していく流れにシンクロして見られたし、最後に彼女たちが辿りついた決着のつけ方もすとんと納得できたんだろうと思います。
想像するしかないですが、このお父さん、そんな人いるのかΣ(゚Д゚)というような印象を最初は正直持っていたものの…いるんだろうな(笑)優しいけど、ダメな人(^^;)優しいだけの生き方っていうのも、結構周りを傷つけるのかもしれませんね。この人の場合は特に、目の前にいるたった一人に対して優しいというだけで、愛情を限定的にしか与えられない不器用な人、という気もしますが…

原作の吉田先生といえば『BANANA FISH』『YASYA−夜叉−』のようなハードボイルド系のお話も素晴らしいんですが、それとは反対に、普通であるからこそ生々しい「生活」をただ切り取り、それを叙情的に描いた作品も魅力の一つです。そんなノンフィクションの持つ説得力に近いものがある「普通」なフィクションを描かせたら超一流、という作家さんの作品を、同じく淡々と流れる日常を色鮮やかに「魅せる」ことに至っては超一流な監督が撮ったっていうのが本作の面白いところだと思います。
主人公たちが愛する街や家を流れていく四季の移ろいとともに四姉妹それぞれの心の変化と成長を、個性豊かな周囲の人たちとの人間関係を交えて細やかに余韻を持たせる描き方。原作者も監督も感性や手法が似ているので…原作は原作、映画は映画というのではなく、2つが融和して作品の持つ魅力ある世界観をより深く広がりのあるものにしたような、見事な仕上がりでした。個人的には原作を知っている方が映画では明確に描かれていない背景がよくわかるかなぁ?という気もしましたが、どっちを先に見ても、おそらくがっかりするようなことはないんじゃないかな、と思います(と、両方をプッシュしてみる…)。

物語は派手なアクションやドラマティックな見せ場があるわけでもなく交わされる会話も至って普通で現実的。夢見がちであったり、小綺麗に気取るとことろは全くなく、装飾を取り払ったような素朴さに生身を感じます。それでも穏やかな波の調のように響いてくるものがあるのは、私たちのすぐ隣にありそうな普通の生活こそが何よりもドラマチックで濃密である証なのかもしれません。辛いことも嬉しいことも、些細であるほど、等身大であるほど本来身に迫るものがある。それをそのまま表現すると下手をすると単調でつまらなく見えるところを、吉田先生も是枝監督も、あたたかい目線で丁寧に人物を描かれるからぐっと惹きつけられるのだろうと思いました。一人一人のキャラクターに、ひとつひとつの言葉に、今までに重ねられてきた時間を感じます。だからすべてが、浮いて感じられることがなく自然にお話に寄り添える。その心地良さが病みつきになります。

誰が悪いというわけでもない、どうしようもないことだったんだ、とか、生きているものには手がかかる、などの台詞に表されているように、幸せな瞬間が永遠に続く人生などどこにもないし、生きている限り苦悩や葛藤は訪れるものだと思います。確かに人の世界は綺麗事だけではすまないし常に矛盾を孕み、すぱっと白黒つけて割り切れるものばかりでもない。それでもそれらを受け容れて、毎日毎日を積み重ね前へ進むことが生きること。そんな日常の営みが愛おしく感じられる作品の素晴らしい魅力を再認識しました。

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新しい展開にドキドキしました~。ここしばらく切ないとは無縁に見えたあの人が…今回は泣かせてくれる…(;_:)幸のクールで(笑)大人な恋愛へのスタンスがかっこ良く、時々おかしい…そしてよっちゃんやったネ!さすが恋の狩人!w

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Comment

Name - eriemama  

Title - Re: うんうん

> 映画という限られた時間で表現するには原作が長いしいろいろ詰まってますから………
> でもしっかりと原作の世界観とか、伝えたいことが表現されていたと思います。さすが是枝監督ですよね!

本当に…『秘密』もこういう作り方をされているといいなぁと思います。アレンジは仕方ないとして、
世界観と作品が発しているメッセージは踏襲していただけると。。。

> また鎌倉の地価があがっちゃうわ……とゲスいことを考えながら見てしまった………。

鎌倉、卒業旅行で行く予定だったんですけどね、行けなくなって。いつか行ってみたいです。っていうか
住んでみたい(笑)でも、地価高いんですか?(^^;;住むのは無理かな…。

> 7巻もよかったですよねー!佳乃ちゃんの女っぷりに惚れそうになりました。

住職が惚れ込むのわかりますよねぇ(笑)
四姉妹みんないい女やなぁと思いますけど(←どこのおっちゃんや^^;)、今回は一番彼女が
キラキラして見えました。
2016.01.23 Sat 21:26
Edit | Reply |  

Name - ねこじゃらしにゃんたろー  

Title - うんうん

映画という限られた時間で表現するには原作が長いしいろいろ詰まってますから………
でもしっかりと原作の世界観とか、伝えたいことが表現されていたと思います。さすが是枝監督ですよね!

また鎌倉の地価があがっちゃうわ……とゲスいことを考えながら見てしまった………。

7巻もよかったですよねー!佳乃ちゃんの女っぷりに惚れそうになりました。
2016.01.23 Sat 00:08
Edit | Reply |  

Name - eriemama  

Title - Re: わー、すごい!

> 綾瀬はるかちゃんと長澤まさみちゃんはどっちかって言うと逆だろう!と、勝手に思ってました……女優なめてた………

私もこれ一緒です(笑)自分のイメージに当てはめちゃいますからね…うまい女優さんはそういうのすぐに覆しちゃうんやなぁと感服しましたよ〜w

> 風太くんも何気にいい感じ!

風太くんってよく覚えてないけど兄弟でコンビ組んで何かしてた子でしたっけ?どっかで見たような、でも出てこない(・・;)
この前見てからずーっと気になってるんですけど…気持ち悪いなぁ(笑)

> そういえばYOUさんが、「だれも知らない」を振り返って、「是枝監督は、子役には台本を渡さずに、カットごとにそのシーンのセリフだけをその場で伝えて、あとは自然に任せる」と言っていたのが

これちょくちょくいろんな方が言ってますね(笑)
台本もらえなかったらかえって緊張しないのかなぁ…役者を見てるんですかねぇ?

> あー、早く7巻が読みたいです……!(電書待ち)

来月でしたっけ?私もKindleと一瞬迷ったんですけど、映画の後やったんでどうしても読みたくて紙にしました(⌒-⌒; )
がっつり詰まってますよ〜(^-^)/

> 傷のひきつりその後いかかですか…?

無理して変に動いたのがあかんかったみたいで(^^;;抜糸遅れてます…看護師さん、お医者さんに怒られたりびっくりされたり呆れられたりです…(ーー;)
周りがちょっと腫れてるようで、痛みもあるから動きたいんですけどまだまだ生活の大部分母に任せきりになってます。変に身体もだるいし…すみません愚痴になってきた(笑)
2016.01.20 Wed 15:51
Edit | Reply |  

Name - ゆけ  

Title - わー、すごい!

予告見て、すずちゃんはもうこの子がモデルで描いたんじゃないかっていうぐらいピッタリハマっててこわいくらいでしたが、綾瀬はるかちゃんと長澤まさみちゃんはどっちかって言うと逆だろう!と、勝手に思ってました……女優なめてた………
(しかも長澤まさみちゃんの方が年上かと思ってました……)

全部は見てないのですが、かなりいい感じですね!!風太くんも何気にいい感じ!夏帆ちゃん、さすがにアフロは無理だよね……(笑)でもかわいい♪いい感じ。
俄然、観てみたくなりました。さすが是枝監督っこの空気感……こんなにきれいな世界があるのか……

そういえばYOUさんが、「だれも知らない」を振り返って、「是枝監督は、子役には台本を渡さずに、カットごとにそのシーンのセリフだけをその場で伝えて、あとは自然に任せる」と言っていたのがすごく印象に残っています。なんかよくわからないけど、すごいなーって。凡人がそれやったら、大惨事ですよね(笑)

原作、ほんと、日常に寄り添ってる感じがすばらしいですよね。私ってつまんないやつだなー、なんて思ったりもしますけど(笑)。うん、もうちょっと頑張ろう。…かな…?
あー、早く7巻が読みたいです……!(電書待ち)
傷のひきつりその後いかかですか…?
2016.01.20 Wed 03:10
Edit | Reply |  

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