GARDEN CITY LIFE~annex~

お越しいただきありがとうございます。当ブログは清水玲子先生の『秘密』のレビュー(時にネタバレ)と二次創作(こちらは一部BL要素含)のざっくり二部構成になっております。記事は単純に日付順に表示されておりますので、お読み頂く際はサイドバーや記事一覧などでカテゴリーをご確認またはセレクト頂けますと安心、安全です<(_ _*)>

薪にゃんと一緒(お部屋であったまろう編②) 

ずっと前に書いた薪にゃんお風呂編のゾク編です(笑)お風呂・お部屋編を通して見るとシリアス寄りではありますが真面目さんと不真面目さんの間くらいのぬるい展開です。今回も特にテーマやメッセージ性は皆無です(;・∀・)

※こちらリアルには2016年1月15日です(^^;)

あ、メロディの考察や真面目なSSを探して来られた方、初めてお越しいただいた方などいらっしゃいましたらコレ、違いますから(^^;)
最初から最後までアブナイ表現が続くがっつりR記事です(;´Д`)※この記事は使用上の注意をよく読み、容量、用法を正しく守ってお読みください。(=18歳未満の方並びにBLにアレルギーをお持ちでオエッとなりそうな予感がする方は恐れ入りますがご遠慮くださいませ)

消えてしまいたいわと思いながらもう意地で書ききりましたが、ごめんなさい、これアップしたらうしばらく(←?)しませんので見逃して下さい(-_-;)






薪にゃんと一緒(お部屋であったまろう編②)


「したい」
そう言うと、薪さんは「あおき」とわざと甘えるような声音で誘惑する。こんな薪さんは知らない。間近から俺を捉えるのは、その目力の威力を知っている魔性の瞳だ。艶やかな微笑を湛えた唇から漏れた吐息が、ふぅと首筋にかかって頭が真っ白になりそうになった。
(だめだだめだだめだ)
持っていかれちゃダメだ。しっかりしないと!
目の前にいるのは薪さんだけど…薪さん、なのか?生霊の薪さんと生身の薪さん、その2人がどういうバランスで存在するのかもわからないまま、いつまでも生霊相手に段階を踏んでいってしまっていいものなんだろうかという気持ちが再燃しブレーキをかける。だってどうしても…本体を置き去りにしているようで。いや、でも目の前のこの人も根っこは同じ人なのだから同一人物に違いはないわけで…確かにそうだからこそこれまでの関係があるのだけれど。
「い、いや…しようって言われましてもその、うちにはご用意がございませんし」
変な調子にはなってしまったが、迷いが消えないので適当にお茶を濁すべく俺は必死に言葉を探した。正直に言えば、このままこの人を抱きたい…相手が生霊であっても先に進みたい気持ちが一度も芽生えなかったわけでもない。それはそうなのだけれど…。
「?ご用意?…ああ、そういう話か」
可愛らしく小首をかしげると、薪さんはおまえちょっと変だぞ、と言いながら身体を起こした。
「それなら心配いらない。ほら、ここに」
おもむろに俺の枕の下に手を突っこみ、ゴソゴソと何かを探しはじめる。何…?そこに何かあるんですか?もしかしてこっちと「向こう側」とを行き来するための入り口とか?気になるので俺もその横に起き上がって並ぶと、薪さんの手元を覗き込んだ。
「…?何があるんですか?」
固唾を飲んで見守る俺の前で、あ、あった、と言うと薪さんは両手をぬっと引き抜いた。ふわっとした毛並みに覆われたその手の上に乗っているモノに視線を落とし、一瞬絶句する。
「えっ…!?」
一体いつの間にそんなところに忍ばせてあったものかーー出てきたのは、行為の時に使うジェルの瓶とゴムで――俺はいい年をして薪さんを直視できないほどの恥ずかしさに、口許に手を当てて思わずキョロキョロと視線を宙に彷徨わせた。顔が熱い。用意って…そうだよな、確かに。でも、ええっと…なんだろうこの気恥ずかしさは。薪さんとそういったモノとのそぐわなさのせいだろうか。勿論そんなものは俺の勝手な先入観によるところが大きく、薪さんにだって性欲くらいあるんだから別におかしなことではない。うん。
ただ…ただ、その、なんというか――やはりまだ俺の中で薪さんは清純な乙女のようなイメージなのかもしれない…。そういうところが薪さんを焦らしてしまうんだし駄目なんだろうな、とは思うのだけど…そう、駄目なんだ。
すみません、と心中で頭を下げながらひとつ深呼吸をすると、俺は意を決してあどけなくさえ見えてしまう整いすぎた薪さんの顔をまじまじと見つめ返した。そりゃあいくら童顔で初心に見えてもひとまわりも上なのだ。そういう経験だって知識だってあってもおかしくない。男同士でそういう関係になれば自然な流れなのだろう。むしろいつも奉仕する側に回っている俺を気遣ってくれているのかもしれない。
(そうなんですか…?薪さん)
きっと一歩踏み出すことやそれを切り出すのには勇気がいったろうに、だとしたらものすごくいじらしいんじゃないか?…っていうか、申し訳ない。
「青木?どうしたんだ涙ぐんだりして」
「いえっ、別に」
「…おまえやっぱりこういうのは嫌なんじゃ…だったらちゃんと言ってくれ」
「いいえ大丈夫ですとも!喜んで!!」
「……青木」
しまったこれじゃ居酒屋のノリだ。眉間に皺を寄せ胡散臭そうにこっちを見る薪さんにはハハハ、と笑って誤魔化しつつ瓶に手を伸ばそうとすると、ヒョイとその手は躱されてしまった。虚しく空を切って、掌が墜落する。
「え?ま、薪さん?」
もしかしてもういいやめた、どうせまたバカにしてるんだろう、なんてヘソを曲げちゃったんじゃ…とおそるおそる窺えば、ジェルとゴムを背後に隠した薪さんは、上目遣いにじっとこちらを見上げていた。頰のあたりがうっすらと赤く染まって見えるのは気のせいだろうか。とりあえず眉は吊り上がっていないので怒っているわけではなさそうだった。
「嫌じゃなくても…少しでもおまえが不安なら、僕が全部するけど。きっと今までと違ってこれならおまえだって気持ち良くなれるだろうし――だから」
「薪さん…」
決して器用ではないけれど、俺を想ってくれているその気持ちが嬉しくて、俺はぎゅっと細い身体を抱きしめて背中に隠されたものを回した手で受け取った。
「すみません、大丈夫ですよ。俺もしたいです、あなたとその――ひとつになれるなら」
嬉しいです。身体を離し俺がそう言って微笑みかけると、薪さんはほっとしたように表情を緩め、「じゃあ、しよう?」と俺の腕に手を添え控えめに笑い返した。

  ※    ※    ※    ※    ※

僕をうつ伏せに寝かせると、青木はジェルを手に取り僕の双丘を割るように指を忍ばせてきた。決して恰好のいい態勢ではなかったけれど、触りやすいように腰を浮かせ膝を身体の方に引き寄せると、僕はベッドに頬をつけてじっと目を閉じ、長めに息を吐きながら力を抜くように努めた。邪魔にならないよう、しっぽは身体に添わせて横に垂らしておく。背後では、ひやりとした感触が奥に進む前に慎重に周囲を愛撫していった。
「すみません、冷たいですよね?」
「いや…平気だ」
冷たかったのは最初だけで、心地よく指が滑り始めるとそれはもう身体に溶け込んだように意識されなくなった。その部分がやがてほぐれてくると、青木の長い指が浅めに挿入される。入口の周りを何度か掻きまわすようにゆっくりと動かされ、僕は痛みとも快感ともつかない微妙な感覚に「ん」と短く息を漏らした。
「大丈夫ですか…?」
「…うん」
ちょっと変な感じ。そう応じると、青木が困ったように笑う気配があった。指の動きが抽挿に変わり深度を増すと、だがその感覚はゆっくりと変わり始める。
「あ…」
指が1本から2本に増え、青木の左手が周辺の肉を揉みしだくように動く。徐々にその部分がほぐれてくると口からこぼれる声も微妙に変化し、何も言わずとも青木に僕の高揚を知らせた。
最初はどこに触れられてもそれほどの差はなかったのに、探るような指の動きに刺激されると他の部分とは明らかに違って感じられる場所に気が付く。僕の意識がそこをとらえると同時に、青木もそれに気づいてそこを集中的に攻めるようになってきた。
「あっ…そこばかりは、イヤだ」
それ以上先に進むのが急に怖くなってそう言うと、ぎゅっと収縮した窄まりから青木がぬるりと指を引き抜く。
「…っ」
それだけの刺激でも、もう僕の身体は敏感に震えてしまう。攻められ続けた緊張感からのしばしの解放にほっと息をついていると、青木の掌が肩に触れ、首筋に唇が押し当てられた。
「青木…?」
そのまま、青木の唇は背中を伝い腰の方へと移動していく。啄ばむような口づけが心地良く、背中越しじゃなく向かい合って抱き合いたいという衝動に駆られ振り返ろうとすると、「そのまま」と青木の手が動きを制して僕を押しとどめた。
「そのまま力、抜いててくださいね」
青木が言い終わらないうちに後門に押し当てられた熱い肉の感触にハッとする。
「あお――」
「薪さん、ゆっくり息を吐いて」
急に言われても無理だ。息を吐くどころか呑み込んで僕がそう言う前に、青木はジェルに濡れた窄まりに自身をぐっと押し込むように挿入して来た。
「!」
さっきまでの指による愛撫でいくらかほぐれてはいたけれど、数本の指とは圧倒的に質量が違う。それでも滑るように押し入ってくる青木は僕の狭い内部に途中まで進んだところで、ふっと動きを止めた。青木の厚い胸板が、息を詰めて身じろぎできずにいる僕の背中に重なる。とくん、とくんと脈打つ鼓動が僕のそれと響き合って聞こえてくると、ようやく僕は止めていた呼吸をおそるおそる再開した。はっ、はっと浅い息を繰り返す。
「薪さん…?」
平気ですか?と尋ねる青木に、僕は首だけを左右に動かして答えた。
「…やっぱり無理かも…青木、もうやめよう」
「えっ?」
「これ以上なんてとてもじゃないけど無理だ。おまえと僕じゃ体格だって違いすぎるし、今が限界なのに――」
「限界なんですか?」
言って青木は両手をベッドにつき、身体をわずかに浮かせた。いつの間にか意識のコントロールを外れそこにかぶさるように垂れ下がったしっぽををごく自然に持ち上げ交わった部分を見ているらしいが、そんなことしたって僕のこの切迫した状況がわかるわけがない。それより何より恥ずかしいからやめて欲しい。
「……大丈夫そうですよ?」
何がだ!根拠は!?っていうか動くな見るな早く抜いて。
「…もういい、わかったから!早く」
早く抜いて、と言おうとしたのに、どうやら言葉足らずだったらしい。はい、という返事をよこしたかと思うと、ゆるゆると抜きかけた自身を、青木は再びグイと僕の中に突き立てた。
「!!ちが…っ、ああっ」
ざらっと内側の肉壁が擦れ、限界だと思われた先へ青木を迎え入れる。奥まではまだあるようだったが、それでも内臓が押し上げられるような圧迫感に息が詰まり、僕は悲鳴にも似た声を上げてベッドに突っ伏した。
「いやっ、ああっ!」
青木の抽挿はおそらくそれでも随分自制されているのだろう、ゆっくりと優しい腰遣いではあったけれど、ぎりぎりまで内部を押し広げられる感覚は僕を追い詰めた。気持ちがいいわけでも気持ちが悪いわけでもなく、身が竦む。
けれどおかげで収縮した僕の粘膜は青木をぎゅっと締め付け、激しい快感をもたらしていたらしい。ああ、と切なげな喘ぎ声をあげた青木の両腕が、僕の身体の両側で微かに痙攣した。
「薪さん…」
乱れた息の中で僕の名を呼びながら、青木が腰を動かす。その時不意に、強度を増してきた青木の昂ぶりが敏感な部分を刺激し、初めてそれまでとは違う衝撃が僕を襲った。あっと声を上げ、思わず目を見開く。
(なに――)
「ハッ…!アアッ」
先刻までの圧迫感が一瞬で弾け飛ぶ。脊髄から脳へと駆け上がる感覚に小刻みに足が震えた。気持ちいい――そんな風に思えた自分に驚きを憶える。総ての神経がその快感を逃すまいと集中するような不思議な感覚。緊張に張りつめていた身体が警戒を解くのを、青木は見逃さなかった。日頃仕事で鍛えられた観察力はこんな時性質が悪い。隠そうとしてももう遅く、すぐに青木は繰り返しそこを攻め始める。
「ここですね…?」
「あっ、…ッ!やめ…っ」
しつこいほどにそこを擦られて逃げようとする腰を、青木の手が掴んで引き留めた。身体の芯が再び痺れ始め、カッと中心に点った熱が全身に拡散していく。激しくなる息遣いに合わせ、遠のきそうになる理性を必死につなぎ止めた。でないときっと何もかもわからないほどめちゃくちゃに壊れてしまうような怖さがあった。それは愛されている、という怖さに似ている。
(僕は愛されている)
少し前までは、気持ちを伝えられれば、同じ気持ちを通わせることができたら、きっと毎夜胸を締め付けるこの気持ちは穏やかに満たされる…そう思っていた。気持ちが通じ合った今は、離れていても充分すぎるほど想われて愛されているんだという自覚だってある。それなのに、一般的に見れば相思相愛の関係になっていながらもなお、素直に青木が与えてくれる愛情に飛び込んでしまえない自分に時折苛立つことがある。それはどこかに恐れがあるから。飛び込む前に一度、心の足を止めさせる密やかに僕に寄り添い続ける影。それがあるから、青木のことを考えると未だに胸が苦しくなる。思い浮かぶ限りの言葉でこのもどかしい気持ちを伝えても、伝えきれる自信はなかった。おそらくこの先も、僕はこの不安から逃れられないのではないか。何度愛していますという言葉をもらっても、僕の中に巣くう病のような飢えは、きっと青木ではなく僕に起因するものだ。青木を信じているのに、こんなにも好きでたまらないのに。
(だから青木、触って)
その手で、指で、僕に触れて包み込んで、感じてほしい。肉体も精神も超えたところにある、伝えきれない本当の僕を。
(そして触れさせて)
僕の手で、指で、身体の全てで確かめさせて…安心させて。
考えれば考えるほど、想えば想うほどに苦しくなるから。埋めきれない心の隙間を埋めるため、触れ合う肌から伝わる心地よい体温――何よりもこの温もりと愛の言葉が欲しくて、僕の魂は夜毎でもその胸に抱かれるために飛翔するのだ――待っているほどの余裕も無く、今すぐに、と。
欲を出し過ぎるなと青木を制したばかりではあるけれど、本当はいつもこの魔法を解きかねない危うさと背中合わせなのは僕の方なのかもしれなかった。
僕の中に入り込んだ青木が質量を増し、入り口を行き来するたびに快感をもたらしはじめる。それは口を使い前でイカせてもらう時のような表面的な快感とも少し違う、脳を痺れさせるような身体の深部から生まれる強い快感のきっかけに過ぎない。それでも僕の吐息はやがて導かれるだろう頂点を予感して熱く震えた。
速度を増す鼓動と刻々と追い詰められていく感覚に、僕は固く瞳を閉じて集中する。喉の奥から漏れそうになる喘ぎ声を呑み込んでひとつ息をつくと、かわりにどうしようもない感情を短くこぼした。
「…苦しいんだ」
これじゃあ何のことかさえわからないに違いないとは思いつつも縋るような気持ちでそう言うと、青木はゆっくりと動かしていた腰の動きをぴたりと止めた。心配そうな声がすぐに勘違いをして詫びてくる。
「え…?痛いですか?すみません、気がつかなくて」
「…違う」
そうじゃなくて。目を閉じたまま青木の方は見ずに額をシーツに押し付けて、僕は小さく頭を振った。
「おまえのことを考えるといつも、苦しくて…青木、どうすればいい?どうすれば僕は……」
この枷から解放されるんだろう。
このいつまでもどこまでも満たされない欲深い自分から。もらってももらっても、足りないと欲するこの浅ましく厄介な気持ちから。
「薪さん…」
囁くように名を呼びながら、青木はそっと僕の背中に口づけを落としてくる。髪を梳くように指を滑らせ、頭を引き寄せてそこにも唇を押し当てる。止まっていた青木の腰が再び緩やかに動き出すと、僕の身体はそれまでの動きとは角度を変えた刺激に敏感に反応してびくりと痙攣した。
「あっ…!」
「考えなくていいんですよ。俺はいつもあなたの傍にいるんだから、感じればいいんです…ほら」
僕が求めるのと同じようなことを口にしたかと思うと、ぐっと青木のそこが今までより深いところを突いてくる。荒々しくはないが唐突な侵入に驚いた僕のそこは反射的に収縮し、背後の青木は一瞬うっと呻いた。
「うぁ…あぁ!」
「…どうですか」
どうって…馬鹿じゃないのか。
(気持ちよすぎてこれじゃ他には何もわからな――)
「薪さん、ちょっと力抜いて…」
「無理だって!おまえこそちょっと止ま――あぁっ」
顔を上げてストップをかけようとしたが、止まることのない抽挿に阻まれ、最後まで伝えることは許されそうもなかった。それはそれで構わないかと諦めて、僕は迫ってくる真っ白な世界に備えて手に触れるシーツを爪を立ててぎゅっと握りしめる。再び目を閉じて、青木が与えてくれる快楽の波に全身を委ねた。大きすぎる青木の総てを感じるには小さな僕の肉体は、本当に邪魔だ。それでも、青木を受け止めることができ、もっとと求めることができるのも肉体があるから。この身体は確かに本物ではないけれど、それでもこんなに心と共鳴する――
「ハッ…ハァッ、…あ!」
(……ああ)
僕は青木がものすごく好きで。
それ以外には何もない。

恋は全く単純な罠だ――そう思った。

   ※    ※    ※    ※    ※

すぐ前には目を瞑って快感に耐える薪さんの苦し気な表情がある。口から漏れる喘ぎ声は艶めいて魅惑的で、もっとたくさん長くそれを聞かせて欲しくて、俺はできるだけゆっくりと動き続けた。
細い腰は左手で支え、右手は薪さんの前へ回して硬く張りつめたそこを包み込む。そっと扱いてやるだけで先端から溢れ出した露が俺の手を濡らし、パタパタと零れ落ちて行くのがわかった。
「ふっ…あ、あぁ…あおき」
はい、と応じると、もっと、と消え入るような声でねだられる。それにまたはいと応じて、求められるままに動く俺は幸せに満たされていた。
こんな風にこの人に与えられるものなんて今まではそうはなかったものだから。
「薪さん――」
いくらでも尽きることなく湧いてくるこの感情を、愛しくてたまらない人とひとつになれる幸福をどうしたら伝えられるのか――わからない苦しさで言えば俺も同じだ。できることはただ、こうして重ね合った肌から伝わる熱がきっとそれを届けてくれることをただ願うだけで。ふたり募らせた想いが溶け合って、やがて互いを満たすものへと姿を変えて返ってゆくのを信じるしかない気がした。
(薪さんは不思議だ)
身体に触れると感じる骨格やしなやかに引き締まった筋肉のつき方は、細身ではあるもののやはり同じ性を感じさせるそれだ。向かい合って抱き合えば互いの昂ぶりがぶつかり合う。でも、これまでは恋情が向かうことなどなかったはずの同性であるこの人に、今は全身が粟立つほど欲情する――雄の自分の本能で。
こうして薪さんと向き合う時、年齢も性別も、この人の歴史さえも。総てが意味を失うほど、ただ好きだという思いだけが俺の中から溢れ出す。その奔流を、繋がった肉体を通して薪さんはその華奢な身体に懸命に受け止めようとしてくれているようだった。
「…ッあぁっ!」
女性と交わる時の締め付けより強い何度目かの粘膜の収縮が、張りつめた俺をきつく扱くように包み込む。まとわりついて離さないあたたかな肉壁の感触に、身体を駆け上がる激しい快感に、荒い呼吸の間を割るように抑えきれなくなった喘ぎ声が喉の奥から漏れて薪さんのうなじに零れ落ちた。無防備に晒されたそこに無性に噛みついてみたくなり、俺はわずかに汗ばんだ首筋に唇を押し当てると、軽く歯を立てて甘噛みした。ん、と一瞬肩を震わせた薪さんが、熱に浮かされ潤みを帯びた瞳で振り返る。頼りなく開かれた唇の濡れた輝きに誘われるように夢中で自分の唇をそこにぶつけ口づけると、薪さんは「あっ」と小さく叫ぶような声を上げて顔を背け、下を向いてしまった。
「ハッ、ハァ…ッ!アアッ」
俺の身体の下で、背中をわずかに丸めた態勢で身体を震わせ、手繰り寄せたシーツをきつく握りしめた薪さんが興奮を吐き出す。俺の手の中にあったそこが放出に合わせ脈打つのと同時に、俺の中心を呑みこんでいた窄まりが一段と締め付けを増した。その苦しさにたまらなくなって自身を引き抜こうとした瞬間、急襲した抗いようのない強い快感に俺もまたギリギリで堪えていたた欲望を解放する。全神経が研ぎ澄まされたような感覚の中から自由になると、身体を弛緩させ崩れ落ちた薪さんの傍にぐったりと倒れこんだ。もしも俺たちが獣なら、今襲われればひとたまりもないだろう。
何度か大きく息をしてから、やはり荒い呼吸に合わせて上下する薪さんの背中に指をかけ、大丈夫ですか、と声をかける。自分でもおかしなほど掠れた声にふっと薪さんが笑う気配があって、つられて少し笑った。大丈夫じゃないのは俺の方かもしれない。
「……ああこれ…もう一度お風呂、ですかね」
息を整えながら、よいしょと起き上がり、あぐらを組んで吐き出されたものの処理をする。自分と目の前に横たわる薪さんの有様に苦笑しながらそう言うと、今から?と気怠い声が応じた。
「もういい…どうせ生霊だし」
「どういう理屈ですかそれ」
苦笑しながらほら、行きましょうか、と背中を叩くと、んー、と短くうるさげに呻いた薪さんはゴロンとこちらに身体を向け、チラリと片目だけを開けてこちらを見た。
「だったら連れてってくれ」
いつもの調子を取り戻した横柄な口調でそう言って、はい、どうぞ、と両腕をこちらに差し伸べる。そんな仕草の悪魔的な可愛らしさにこの人は気づいているんだかいないんだか…。
「そんな風だと、また食べちゃいますよ?」
「ん…じゃあもう1回、お風呂でするか?」
「え…ええっ!?」
何ですかそれ何か今日やっぱり積極的だしエロいんですけどもしかして今発情期じゃないですか?
そんな冗談めかした俺の台詞に、愛しい恋人は両目を細め、フッと意味深に笑んでみせるのだった。
「……そうかも」
だからほら、早くお風呂。
自分で言っておいて我慢ができなくなったのか、薪さんは持ち上げていた腕をパタンと下ろすと子供のようにクスクスと肩を震わせて笑い出した。しばらく一緒になって笑ってから手を取って身体を起こしてやると、ようやく笑いを収めた薪さんは俯き加減に顔を伏せ、青木、と俺の名を呼んだ。
「ハイ?」
「僕を感じた?」
「……はい」
「おまえが好きだよ」
顔を上げた薪さんの双眸が迷うことなく俺をしっかりと捉える。
「すごく…すごく好きだ」
「俺もです」
長い夜はまだ始まったばかりだ。やわらかい唇を割って、舌を潜り込ませる。飽くことなく今夜いく度目かの深い口づけを交わしながら、俺は再び抑えきれなくなった体の疼きに屈して、今しがた自分で起こしたばかりの細い肢体をベッドの上にもう一度組し抱いた。



〈fin〉
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Comment

Name - eriemama  

Title - Re: も、もう一度、いくのかっ‼

> スゴいスゴい!!

もうワンラウンドいっちゃうとこが、ですか?(笑)

> 薪にゃんおめでとう!&eriemamaさん、お疲れさまでした。薪にゃんの気持ちが切ない。相当覚悟して来たんですね。

フフフ…どうだろ(笑)←?
実は私、薪にゃん書き始めた頃はこれほど初心な設定にはしないつもりでもっとイケイケ(死語)ドンドンなニャンコをイメージしていたんです…猫ってほら、そういう感じが…←せんわ(ーー;)
でも、本家薪しゃんは覚悟がお好きですからね。うん、もう僕の全てをお前に捧げちゃる、な気合で来たことでしょう…出張明けなのに(笑)

> そうそう、ありのまま感じればいいの。薪さんの素直な感情(拗ねたり意地悪したりもあわせて)を抜き出したような薪にゃん。原作薪さんもこれくらい隠さなければ、青木くんなんてイチコロなのにぃ。

ありの〜ままの〜♪ですね←もう古い?
包み隠さず本気出せばきっと青木ちょろいもんだと思うんですが(^_^;)ところがどっこいそうはいかないのが薪しゃんの現実。厳しい(T . T)

> 描写がめっちゃ細かいわ、さすがです。ふふ。後ろから攻め……、かなー。最初だし。

説明くさくていけませんよね(ーー;)
どうすればヤマネさんのように想像を掻き立てるようなのに仕上がるのやら、書いててほんと謎です(-。-;

> 本体に響かない程度によろしく。たぶん、本体はナゼか?ぐったり……でも幸せを感じたことは覚えてる、きっと。

どうしよう、「本体」定着ですね(笑)よーし青木、本体と合体だ!←コラ
目が覚めたら幸せを感じたことだけ覚えてる、なんて儚くていいですねぇ…。
ほんま、どうなんでしょう。これだけのことをしておいて、本体は何ともないのでしょうか(笑)何の作用もないのでしょうか(笑)

> ゆっくりお休みください。また待ってます。

ありがとうございます(。-_-。)しばらくは書きためた分で更新しつつぼちぼち復帰します(^_^;)
2016.01.17 Sun 21:52
Edit | Reply |  

Name - eriemama  

Title - Re: 続き(^0^/)

> おお〜〜!続きが!そして完了!お疲れさまです!

えらいものを読ませてしまって…あいすみませぬ…(−_−;)
にゃんたろーさんこそお忙しい中の岡薪マンガや危ない!その後編とかお疲れ様です!
さっき、満喫させていただいてきましたよ〜(≧∇≦)

> でもあの、このとき薪にゃんは……しっぽは?そして手はもふっこなの??

すすす鋭い!Σ(゚д゚lll)
実はモフモフの手はちらっと出したのだけどしっぽは失念していて(笑)←え?Σ(・□・;)
というか、書くと白ける気もして悩んだんです、ええ。もうすっかり無視して書ききる?逃げちゃう?みたいな(笑)で、その辺青木みたいに後から考えよう、と思っていたくせに手直しできないまま予約投稿の期限が来ちゃってました(-。-;ご指摘を受けてちょい足ししてみましたがあまり変わらないかも(笑)お風呂編と違い今回存在薄めです(⌒-⌒; )

> 小説には想像力が必要ですな!

想像力に頼りきってます!(笑)こと薪にゃんに関しては特に、一枚の絵の前に文章は無力!(←それは私の力量不足!)

> そしてやっぱり本体が気になります。夢に見ていたりするのかしら!?

あ、これも皆様のご想像に100%オ、マ、カ、セ(≧∇≦)
2016.01.17 Sun 21:33
Edit | Reply |  

Name - eriemama  

Title - Re: ひゅー!

> 青木くん、大丈夫! 生霊相手に踏んだ段階は、実践で必ず役に立つから(笑)。

実践編の予感ですね(^O^)?では、どうぞ!(笑)←ナチュラルにふってみました

> 私も本体とのお話を読みたいです! 

いかん、「本体」呼ばわりが普通になりつつある(笑)薪しゃんごめんね、分裂させて(笑)
本体とはどーでしょうね?認識、そろそろ一致しなきゃおかしい?(^^;;
でもどうそても、薪にゃん以上にズレている方がらしい気もするんですよねぇ。。。

> 偶然青木の指が触れて、薪さんに生霊のときの記憶が蘇るのです♪ なぜだろう、僕はこの指を知っている…とかいって。きゃ~楽しみ~。

キャ〜(≧∇≦)指ってまた、エロい

> 秘密には全然関係ないですが、ス○ップどうなるんでしょうね~。芸能系のニュースがわかるなんて超久しぶりです。

お!珍しい(笑)フフフ(^ν^)芸能ネタですか?
DA◯GOの結婚とか霞みましたもんね(⌒-⌒; )新聞記事の見出しは曲のタイトルになるし日本の芸能の宝とか…余波を食らいかねない企業の思惑もあるんでしょうが政財界まで動いちゃうってのはちょっと大げさな気も(^^;;余計にメンバー追い詰めないかなぁ(・・;)

それぞれにエンターテイナーとして個性が確立してるんだから、いつまでもアイドルでいることやグループでいることを背負い続けなきゃいけないのは少し哀れな気もします。あくまでもステップのひとつでいいような…今はどういう心持ちなのか知りませんけど、きっかけがあったからとはいえ一度はああいう決断をしたってことは、そういうラフな考え方ができなきゃ不自由な部分も大きい、ということなんじゃないですかね…わからないけど(笑)

でも、実像を知らずに理想っていうフォーマットをこっち側が押し付けちゃうことはよろしくない気もしますが、すごく多くの人に愛されてるんだなぁというのは改めて思ったし、そういう意味では確かに他の人には成し得ないことをしてきた特別な人たちなんやろうなぁ、と思いましたです。。。平成の美空ひばりって感じなのかなぁ。…どう思います?雑談振っちゃダメですか?(笑)


2016.01.17 Sun 21:16
Edit | Reply |  

Name - eriemama  

Title - Re: おめでとうございます!!

> 薪にゃん、お赤飯炊かなきゃ!(≧▽≦)

赤飯は月末のお誕生日にとってあるんです〜(笑)←本気

> 最初からは気持ち良くはないところとかリアルでなみたろう好みです。ふたりのズレっぷりも可愛い!ごちそうさまでした!

文章だと細かいところまで描かなきゃいけないような、でも書いていいのやらあかんのやら、なんかもう…わかりませんでした色々(笑)ズレっぷりが味になればいいかなー…。そう言えばこの間どこかで秘密の考察を読んでいたら「相思相愛の位相がずれている」っていう表現をされている方がいらしてヒャッホー!でした←(ーー;)?
いやぁ、原作はほんまにその表現がすんごくハマるなぁと思って。。。

> でもeriemamaさん、わざとでしょうか?「本体」がとても気になるんですが(笑)

え?気になりますか?(笑)
本体、どうなってんでしょうね?ほんまや、気になる!(笑)果たしてどんな作用をもたらしているのやら…(^^;;
ツーカーなのかな(^◇^;)?

> ぜひ本体との「この前結ばれたじゃないですか?」「何のことだっ」なやり取りも見たいなあ~
> 「薪にゃんを探して」編も期待!!

あ、懐かしい(笑)そういえばそんなのもありました…ネズミー放置(^_^;)
ただ、もう薪にゃんはこれ以上書けない気もするんです、行き詰まってて(-。-;

> とか言って、体調はいかがですか?

あ、手術終わりました〜。これは家出る前予約投稿しておいたんですが、暇あったら手直ししようと思ったのに実際にはそんな気にはなれず、無理でした(⌒-⌒; )
昨日の午後帰宅しまして、いろいろあって、今日やっとゆっくり、です…。疲れました;;;;ゆっくりネット復帰します。
お気遣い、ありがとうございましたm(__)m
2016.01.17 Sun 10:19
Edit | Reply |  

Name - ヤマネ  

Title - も、もう一度、いくのかっ‼

スゴいスゴい!!
薪にゃんおめでとう!&eriemamaさん、お疲れさまでした。薪にゃんの気持ちが切ない。相当覚悟して来たんですね。準備もバッチリ。そこまで求める気持ちが、ああもう、薪しゃん……ですよ(T0T)

そうそう、ありのまま感じればいいの。薪さんの素直な感情(拗ねたり意地悪したりもあわせて)を抜き出したような薪にゃん。原作薪さんもこれくらい隠さなければ、青木くんなんてイチコロなのにぃ。

描写がめっちゃ細かいわ、さすがです。ふふ。後ろから攻め……、かなー。最初だし。
私、この前のは前でも後ろでもどっちでも想像できるように書いたんですけど、皆さんどっちで読んだのかなぁと思いますけど、eriemamaの潔さに乾杯♪
青木くんも、薪さんを大事に思う気持ちが素敵です。薪さんを幸せにして下さい。

って、まだ、ヤる気なんですね!がんばれー、夜は長い!
本体に響かない程度によろしく。たぶん、本体はナゼか?ぐったり……でも幸せを感じたことは覚えてる、きっと。

ゆっくりお休みください。また待ってます。
2016.01.16 Sat 03:54
Edit | Reply |  

Name - ねこじゃらしにゃんたろー  

Title - 続き(^0^/)

おお〜〜!続きが!そして完了!お疲れさまです!

薪にゃん、お赤飯炊かなきゃ!!(笑)

でもあの、このとき薪にゃんは……しっぽは?そして手はもふっこなの??
小説には想像力が必要ですな!

そしてやっぱり本体が気になります。夢に見ていたりするのかしら!?
2016.01.16 Sat 00:35
Edit | Reply |  

Name - たきぎ  

Title - ひゅー!

薪にゃん、おめでとう!
よかったね~、ぱちぱちぱち。

青木くん、大丈夫! 生霊相手に踏んだ段階は、実践で必ず役に立つから(笑)。

私も本体とのお話を読みたいです! 
偶然青木の指が触れて、薪さんに生霊のときの記憶が蘇るのです♪ なぜだろう、僕はこの指を知っている…とかいって。きゃ~楽しみ~。

秘密には全然関係ないですが、ス○ップどうなるんでしょうね~。芸能系のニュースがわかるなんて超久しぶりです。
2016.01.15 Fri 23:36
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Name - なみたろう  

Title - おめでとうございます!!

薪にゃん、お赤飯炊かなきゃ!(≧▽≦)

なんかもう、エロくてやんちゃで勝手で独り善がりで、でも最中に不安になっちゃってかーわいいなあ~( ;∀;)
最初からは気持ち良くはないところとかリアルでなみたろう好みです。ふたりのズレっぷりも可愛い!ごちそうさまでした!

でもeriemamaさん、わざとでしょうか?「本体」がとても気になるんですが(笑)
ぜひ本体との「この前結ばれたじゃないですか?」「何のことだっ」なやり取りも見たいなあ~
「薪にゃんを探して」編も期待!!

とか言って、体調はいかがですか?
無理のないように、でも終わりとか言わないでまた書いて下さいお願いします!
2016.01.15 Fri 14:53
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