GARDEN CITY LIFE~annex~

お越しいただきありがとうございます。当ブログは清水玲子先生の『秘密』のレビュー(時にネタバレ)と二次創作(こちらは一部BL要素含)のざっくり二部構成になっております。記事は単純に日付順に表示されておりますので、お読み頂く際はサイドバーや記事一覧などでカテゴリーをご確認またはセレクト頂けますと安心、安全です<(_ _*)>

present<前編> 

祝!薪誕!ヾ(≧▽≦)ノ

普通誕生日ならめでたく明るい話を用意するもんだと思うのですが、思いつきませんでした。かわりに深夜に書いたSS(ごめんなさい続いてしまった…明日にはアップします)です(;・∀・)
空気読めない子ですみません(~_~;)生誕祭とは別だと思っていただけるとありがたいです。ただ、これだけは叫ばせて下さい…

薪さん!色々ダダ漏れてるあなたが、めっちゃ好っきゃでーっっ(ノω`*)ノ(オタク女子的心の叫び)
待っててもうすぐ私、あなたとタメになるよ!(=゚ω゚)ノ←※厳密にはまだ薪さん生まれてません

↓以下、本編を都合よくねつ造しております。心の広い方のみお進みくださいませ↓



present<前編>

その感情の名前が何なのか、自覚できるようになるとすぐにその正体には気がついた。何故ならそれは今までの僕には芽生えたことのない感情だったから。そして君を喪った時、僕はもうそんな感情とは永遠に無縁になったのだと思った――



「はいこれ」
深夜。カップにコーヒーを注いでいると、ぽん、と頭のてっぺんに重量のあるものが置かれた。思わず手元から視線を上げるとすぐ、右手に背後から伸びた大きな手が添えられる。
「おいおい、よそ見するなよ。溢したら火傷するだろ」
「…なに?」
淹れたてのコーヒーが入ったサーバーを置いて頭に乗せられたものに片手を伸ばす。ずいぶん分厚い――本だ。タイトルを見てすぐに思い至った。
「これ…手に入ったのか?原著で?」
それは以前僕が話した作家の新作だった。売されて間がなく、和訳されたものはまだ出ていない。原著の取り寄せもできないわけではないが、品薄が見込まれ当面は諦めていた。
テーブルにもたれて立った鈴木は僕の反応を楽しむように口角をあげてこちらを見ながら、いつものマグに手を伸ばしてコーヒーをひとくち口に含んだ。
「頑張らせていただきました。それ、ちょっと早いけど誕生日な」
誕生日、と言われて、ああ、と思う。いつものごとくリボンの一本すら包装がなされていないところがらしい。僕の方からは何も贈ったことはないけれど、この親友は律儀に毎年贈り物をくれる。そうしなければそんな日の存在はおざなりにしてしまう僕の「いい加減さ」を見かねてのことだというが、特に何も欲しいものなど思いつかない僕にこんな風に小さな感動を与える品を用意してくれる彼の気配りとセンスにはいつも感謝と同時に脱帽する。
でも。
「…ありがとう」
少し反応が遅れてしまったのは、それが本だったせいだ。
本の贈り物は嫌な記憶を呼び戻す。蘇りそうになるその光景を記憶の彼方へ押し戻し、僕は顔を上げて笑顔を返した。
「よく覚えてたな、これ」
「普通に見て興味がありそうってことはお前の場合かなり気になってるってことだからな。一年前からリサーチした結果、これが一番だと思って……というわけで、今日からまた一年俺のリサーチの日々が始まるってわけ」
小さく肩をすくめてそう言うと、鈴木はマグの向こうで苦笑する。それでもどこか楽しげなその様子につられて僕が笑うと、彼は冗談めかした表情を消して控えめに微笑んだ。連日の仕事の疲れがその裏に見えるのは、おそらく僕もそれを共有しているからだろう。
「そんな顔するなって」
鈴木の手が、本を持つ僕の手にそっと添えられる。
「読書家のお前に手っ取り早いのは本なんだろうけど、一応今までは見送ってきたんだぜ?でもまぁ…そろそろいいんじゃないかと思ってさ」
大丈夫、という短い言葉を、鈴木は力強く念じるように言い聞かせる。
隠しても隠しても、見られたくない知られたくない姿に、鈴木はいつも正しく気がついてしまう。好きな相手にはいいところを見せたいのに、恰好をつけて強がることを許してくれない――僕がただ一人敵わない相手。
「何も悪いことなんて起きない。おまえがもう何も失くさなくていいように、俺が見張っててやるから。これからのおまえはどんどん手に入れていく番なんだ」
視線を伏せたままの僕を案じて、手に添えられていた鈴木の手が頰へと伸びた。
どんなに冷えていてもあたたかさを失わない大きな手。
「いらないよ、別にもう何も…」
地位も、名誉も、権力も、本当は。
(本当に僕が欲しいのはこんな風に)
おまえと過ごすことができる時間だけ――
プレゼントなんてもういいと僕がずっと言わなかったのは、そうすれば毎年彼と確かに過ごすことができる特権を失いたくなかったからだ。
家族でも恋人でもなくずっと親友でいると…おまえはそう約束してくれたから。それならば僕の努めも、おまえの良き親友でいること。
そんな風に自分を律して抑え込んだぎりぎりの想いを、僕は隠しきれていただろうか。



――今日からこちらの「第九」に配属になりました青木一行といいます。どうかよろしくご指導の程お願い致します!
元気よくそんな挨拶をしてその大男が僕の前に現れたのは、何の因縁か1月ももう終わり、というその夜からちょうど1年程が経った頃だった。きちっと整えられた艶やかな黒髪もおしゃれというより実用性にのみこだわったような眼鏡も、その向こうにある人の好さを隠さずに伝える黒目がちな瞳も、今にして思えばどこもそれほど似てはいなかったかもしれない。
それでも一瞬言葉が出なかった。
何の冗談かと思ったのだ。律儀な鈴木が死んでもなお僕に会いに訪れたのだとしたら、それは他でもなく僕を道連れにするため…そうとしか思えなかったから。
(このタイミングで…?)
僕の意表を突くというところでは最高の、鈴木らしいプレゼントだ。
(でも)
今はまだ駄目だ。…空気を読むことが誰よりもうまかったおまえならわかっているだろうに。
「大丈夫ですかね?あいつ。トイレで倒れて額を強打したらしいですよ」
報告を終えた岡部がついでのように去り際にそう告げたのは、配属されたばかりのくだんの新人、青木のことだ。卒倒したり吐いたりは別に珍しい反応ではない。あわない奴はだいたいそうだ。放っておいても、そういう奴は自主的に去っていく。
「さっそくトイレでブッ倒れたって?」
こちらを見ている視線に気づいて声をかけると、彼は恥ずかしそうに赤くなった額を手で隠した。
「異動願いはもう書いた?やっぱり君あわないよ」
何度目かで異動を進めてやると、今回はすかさず切り返しが来た。
「いえ!ここで…頑張りますから!」
さっきの恥ずかしそうな表情はもう消えている。あまり顔色は良くないが、精神的な疲労のせいだろう。それでも目にはしっかりとした光があった。
見ればわかる。
逃げ出す奴はこんな目はしていない。じっと僕から目をそらさずにこちらを見つめるそこには、もう戸惑いや怖れは無かった。
「この仕事に『第九』に、憧れていましたから!」
かつてすごい、とこの仕事を形容した鈴木は希望と信念を胸に配属されたこの場所で命を落とした。僕同様、誇りをもって携わっていたこの仕事に精神を「喰われ」て。
「…これで今までは謎のままだったいろんな事件や死が…解明されるんだと――死んでもなお『語る』ことができるのだと…」
万能の正義は表の顔だ。その本当の怖さに、まだあの頃の僕らは気付いていなかった。時に『視る』ものを向こう側に引きずり込むほどの死者が『語る』ことの真の恐ろしさをまだ知らない青木のまっすぐな目は、その頃の鈴木を――僕らを思い出させた。
「それから…『薪剛』警視正にも!」
(同じ顔をして)
やっぱり、悪趣味すぎるよ…鈴木。いつもセンスのいいおまえにしては珍しいミスチョイスだ。そんなことを思ってフッと笑ってしまった僕を、青木は困った様子で見下ろしてくる。
「まったく…よく似ている」
青木は鈴木のことを知らないし、ましてや鈴木でもない。こんなことを言っても意味がないことはわかっていたけれど、言わずにはいられなかった。もし鈴木が姿を借りて僕の元へ現れたのだとすれば、今度は間違えさせるわけにはいかなかった。
「はじめて君を見た時は奴が死にきれずに甦って僕を殺しにきたのかと思ったよ」
「…鈴木…さんですか」
案の定、青木は素直に戸惑いを露わにする。自分が死人と一緒にされて気分がいいわけはないだろうにそんな素振りは見せないのは僕への遠慮か、本当に人が好いからなのだろう。
「――気がついただろ『防弾チョッキ』。僕がねてる時」
はじめて会った時、僕の身体を揺すって起こそうとしたのはこの男だ。
「胴体を撃っても死なない。だから今度僕を殺す時は」
言い置いて、僕は自分の額を指でさし示した。
「ここを狙ってくれ」
たとえ死んでも、誰にもこの脳が見られないように。呆気にとられた様子で佇む青木を残して、僕は踵を返した。
僕の脳には鈴木すら知らない秘密がぎっしりと詰まっている。重くいつまでも鮮明なその記憶は、墓場まで――いや、あの世まで僕が持って行かなくてはいけないものだ。この先も生きれば生きるほど積もり続けていくのだろうそれにもし誰かが終止符を打ってくれるのなら、そうして僕を縛る、秘密を『守りきる』重圧から解放してくれるのなら…それは鈴木、おまえであって欲しかった。だから僕はあの時、おまえに似た青木にあんなことを言ったのかもしれない。


(続く)
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Comment

Name - eriemama  

Title - Re: わたしも

> 必死で隠しているつもりでだだ漏れてる薪さんが大好きです!!!

なんてピュアで可愛いんでしょうね〜、中年なのに(笑)

> 個人的に、青木くんは鈴木さんの意志を受け継ぐ人だと思っているので、なるほどなあと思ったり……

そうですね、似ているところはそんなにだと思うけど、結びつくところがあるとすればそこでしょうね。
鈴木さんが好きだけど、そういうところでは後は託した!って感じで今は青木を全力で応援しようと思いますw

> でも切ない………鈴薪はもう切ないがデフォすぎる。

切ないがデフォ!(笑)名言だ(T ^ T)夏じゃなくても切ないが欲しい時、今後も発作的に書くかもしれません、鈴薪(笑)
2016.01.30 Sat 12:57
Edit | Reply |  

Name - eriemama  

Title - Re: 鈴木からのプレゼント……

> いやいや!これもひとつのバースデイの形でしょう。まちがいなく!!8月を待たずとも鈴薪が登場するなんて、誕生日が判明するってすばらしい……!←そもそも架空と現実の境界線がうつろなやつ

ほんと、素晴らしいです鈴薪(≧∇≦)←あ、違いました?
1巻はほんまに回想ちらっとしか出てきてないのに、鈴木さんの存在感!溢れる薪さんの鈴木さんへの愛!(笑)←読み方による?
まぁこれは、その後のスピンオフやらいろいろ読んだから感じるのでしょうけれど…王子も好っきゃでー!と叫んでおきます(^◇^;)

> 1巻、そう考えるとそうなんですねえ~~~なるほど~~

ひとつの妄想の形ですw原作じゃあこの後もまだちょいちょい鈴木さん引きずってたからこんなではないはず(笑)

> やー、王子の誕生日が判明したらどうなるんだろう……(´艸`*)

ハッΣ(゚д゚lll)そうだもうすぐ次の新装版ですね(・・;)ああ鈴木さん…6巻の絡み(亡霊出演でしたけど)で出ないかなぁ(-。-;

> 薪さん、けなげに祝っちゃう…??うーん、どうだろ!楽しみ♪

薪さんはそういうの苦手っぽいイメージなんですけど、わかりにくーい表現で特別を伝えてたら可愛いなぁ〜\(//∇//)\
2016.01.30 Sat 12:46
Edit | Reply |  

Name - ねこじゃらしにゃんたろー  

Title - わたしも

必死で隠しているつもりでだだ漏れてる薪さんが大好きです!!!

青木くんが鈴木さんのプレゼントかあ……
個人的に、青木くんは鈴木さんの意志を受け継ぐ人だと思っているので、なるほどなあと思ったり……

でも切ない………鈴薪はもう切ないがデフォすぎる。

続き待ってます(^0^/)
2016.01.30 Sat 01:43
Edit | Reply |  

Name - ゆけ  

Title - 鈴木からのプレゼント……

いやいや!これもひとつのバースデイの形でしょう。まちがいなく!!8月を待たずとも鈴薪が登場するなんて、誕生日が判明するってすばらしい……!←そもそも架空と現実の境界線がうつろなやつ
1巻、そう考えるとそうなんですねえ~~~なるほど~~

やー、王子の誕生日が判明したらどうなるんだろう……(´艸`*)
薪さん、けなげに祝っちゃう…??うーん、どうだろ!楽しみ♪
続きも楽しみにしております(*'▽')ゞ
2016.01.30 Sat 01:17
Edit | Reply |  

Name - eriemama  

Title - Re: しゅごおおい!(´・ω・`)

あ、永野たろうさんこんばんは(笑)どうでもいいんですが何故斎藤工が彼にはまったのかが未だにわかりません(-。-;

> 青木の配属時期(知らんかった)と誕生日を絡めてくるとは!!(;゜∇゜)なんてもうこの人は。天才ですか?

きっかけはほぼたきぎさんの年表です(^^;;あれが神なんです(笑)もしそうなら面白いですよね。

> いやでも「青木が現れたのは鈴木さんのプレゼント」ある!あるよそれ!!そうやって絶対!!

青木が、というか、ちょっと別の方に流れるかもしれませんがそういうのも因果な二人には似合いそうやなぁ、と思ったりします。都合よく解釈しすぎや、という感じではありますが(笑)ここまできたらそれで押し切ります。

> いや祭りでしょこれ。

いえいえ…冒頭の叫び以外テンション低いんですよ(⌒-⌒; )1巻、というのがダメなのかな?暗くてお祝いムードにそぐわん気が…
2016.01.29 Fri 00:00
Edit | Reply |  

Name - なみたろう  

Title - しゅごおおい!(´・ω・`)

青木の配属時期(知らんかった)と誕生日を絡めてくるとは!!(;゜∇゜)なんてもうこの人は。天才ですか?

いやでも「青木が現れたのは鈴木さんのプレゼント」ある!あるよそれ!!そうやって絶対!!
はい、続き全裸待機です。
いや祭りでしょこれ。

薪さんがすっきーっ!!
(ラッセンの節で)
2016.01.28 Thu 23:23
Edit | Reply |  

Name - eriemama  

Title - Re: そうだ!

> そういえば、青木くんが第九に来たの1月だった!

ふふふw
このネタが浮かんだのは深夜にお邪魔したたきぎさんのところで何気に見た年表のおかげです(笑)にゃんたろーさんもおっしゃってましたがあれ、すごく頼りにしております(^人^)妄想の源っていうか(笑)

> え? これ生誕祭とは別なんですか。

あ、違いますよ(笑)これをお祝いにしてしまうには皆さんのお祝い記事を拝見していると申し訳なくて(^^;;あくまでも平常運転の一部ということで…。お祝いは冒頭のアイラブ薪さんの叫びのみです(笑)

> 私も便乗して。
> 色々ダダ漏れてる薪さんが大好きだー!(筋金入り腐女子の叫び)

はい!世界の片隅で薪さんへの愛を叫べればもうそれだけで幸せです先輩w
2016.01.28 Thu 22:25
Edit | Reply |  

Name - たきぎ  

Title - そうだ!

そういえば、青木くんが第九に来たの1月だった!
さすがeriemama さん、なるほど、この設定もいいなあ~。
え? これ生誕祭とは別なんですか。

私も便乗して。
色々ダダ漏れてる薪さんが大好きだー!(筋金入り腐女子の叫び)

後編、楽しみに待ってます♪

2016.01.28 Thu 22:12
Edit | Reply |  

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