GARDEN CITY LIFE~annex~

お越しいただきありがとうございます。当ブログは清水玲子先生の『秘密』のレビュー(時にネタバレ)と二次創作(こちらは一部BL要素含)のざっくり二部構成になっております。記事は単純に日付順に表示されておりますので、お読み頂く際はサイドバーや記事一覧などでカテゴリーをご確認またはセレクト頂けますと安心、安全です<(_ _*)>

薪にゃんと一緒(今日は節分編) 


薪にゃんと一緒(今日は節分編)

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今日は節分だ。
前回に薪さんが来た時、豆まきしませんか?と持ち掛けたところ、俺は意外にもいいよという返事をゲットすることに成功していた。

「豆まき?もうそんな時期か…わかった、覚えておく」
一週間ほど前のその日、俺が剥いてやった焼きみかんをひな鳥のように口を開けてパクリと食べると、薪さんはふぅん、甘いな、と口元をほころばせていた。その表情が可愛らしくて、俺は手元のみかんにハタと眼を落とす。ひと房ずつあげていけばこの顔、ええっと…あと九回は見られるかもしれない。あーでも、結構すぐに終わっちゃうよなぁ…淋しいな。そんなことを考える。
少し前まではこんなまったりとした至福の時間が日常的に送れるようになるなんて思いもしなかったというのに、贅沢に慣れた人間は怖いと思う。
「青木!ボーっとするな、次!」
「あっハイすみませんっ!」
ぱくっ、もぐもぐもぐ、と形のいい口がリズミカルに動くのを、俺はじっと近くから眺めていた。
テーブルに両腕を投げ出し、だらしなく上半身を凭せ掛けてくつろいでいる薪さんはもう見慣れたとはいえやっぱり俺がよく知る薪さんとはどこか別人のように思える。けれど…。
「…そう言えば、豆まきなんて子供の頃からずっとしてないな」
ぽつんとそんなことを口にすると、おまえ舞ちゃんとは?と薪さんは思い出したように問うた。
「もちろんしますよ。でも舞とは別にちゃんと用意して待ってますから…結構余りますしね。ああそうだ、薪さんだけに巻き寿司も!」
「…人を太巻きと一緒にするな!」
「こっちは細巻きですけどねー」
殆ど肉なんてついていないけれど、プニ、と無防備になっていた脇腹を少しつまんでそう言うと、うわっ!と毛を逆立てて飛び退った薪さんはフーッ!フーッ!とこちらを威嚇する猫よろしくテーブルに身をひそめ、俺を下から睨み付けた。しっぽまでがピンと立ってこっちを全身で警戒している…。
…そうか、そんなところが弱いのか…やっぱり可愛いなぁ。そんな風に和ませてもらったのも束の間。
「みかんはもういい!!」
しまった、墓穴だった……。俺の至福の時間は、そんな風にあっという間に幕を下ろしたのだった。

「本当にちゃんと来るかなぁ、あの人」
あの日はあのままプンプンお怒りモードのまま帰ってしまったので、覚えておく、と言ってくれてはいたけれど実はちょっとだけ不安だったりする。こういうイベントに乗ってきてくれるようなタイプでもない気もするし、約束はしたけれどもしかしたら今日は…
(俺があそこで悪ノリしなきゃなぁ)
はぁ、と思わず大きなため息が出る。時刻は夜10時と11時の間。微妙な時間だ。
帰りにデパ地下で買ってきたテーブルに置いた上巻きを前に、お腹がグゥ、と鳴った。今日は夕方に軽く食べたから、と申し訳ないけれど嘘をついて、食事はお預けにしてあるのだ。別にこんなものを食べる食べないで何かが変わるわけではないが、もうこうなるとこれにバースデーケーキか何かのような意味合いすら感じてくる。つまり、今日食べずになんとする、というような変な意気込みが…。
(一緒に食べてこそ意味がある!)
大袈裟か鬱陶しい。薪さんのそんな声が聞こえそうな気がした。
でも家族って、こういうくだらないことも一緒になら楽しんじゃえるから家族なんですよ?薪さん…。
(……あ)
さっき舞と一緒に豆まきをしたときのものだろう、拾いそびれた豆がベッドの脇に落ちているのを見つけて、俺はのそのそと四つ這いの姿勢でそれを拾いに向かった。
その時だ。
コンコン、とノック音がした。でもドアからではない。今日は…。
(窓……?)
ひょっとすると雪もちらつくかも、というこの寒い日に?
俺は驚いて、けれどパアッとにわかに胸に広がった明るく沸き立つような気持ちにドキドキしながら掃き出し窓の方へと近寄った。引かれたカーテンをまず開け、鍵を外す。そっと窓を開けると、外の冷気が待ち構えていたように勢いよく吹き込んできた。
「さぶっ!」
その時だ。
身震いしながら肩を竦めた俺の後頭部に、パコン!と軽い感触のものがぶち当たった。
「!?」
驚いて振り返ると、真っ白な雪の妖精が――いや、猫耳帽にしっぽなどのコスチューム(?)もすっかり板についた薪さんが仁王立ちに立ってこちらを見上げていた。
「薪さん!」
お待ちしてました!と言う俺を、薪さんは嘆息して睨み付ける。
「いくら僕が生霊でも、そんなところから入ってきたりはしない。猫は寒がりなんだぞ」
「…はぁ。でも、こっちから音がしたので」
「フェイントだ。それくらい見抜けなくてどうする?」
「…すみません」
ニット帽とロング丈の同色のブークレーニットはどちらもオフホワイトで、薪さんの透けるような肌の白さを際立たせている。俺はたった今受けたダメージも忘れて細身を包むモコモコとした感触を確かめるようにぎゅっと目の前の恋人を抱きしめた。
「来てくれたんですね?嬉しいです」
「…そりゃあ約束したからな…こら!息苦しい!早く離せ」
憮然と応じた薪さんはもぞもぞと腕の中から逃れようともがく。でももう少しこうしていたくて、俺は意地悪くさらに腕に力を込めてその身体をホールドし、ニットのせいでベッドの中でそうする時より柔らかい感触を堪能させてもらった。しばらくそうしていると、次第に薪さんも抵抗をやめる。下の方で、はぁ、と小さな溜息が聞こえた。
「……気はすんだか」
「いえ、まだ…もうちょっとこうさせて下さい」
「…………」
諦めた様子でこちらに身体を預けた薪さんの頭が少し動く。その時になってふとニット帽の猫耳の部分が今日はペシャンと質量を感じさせないことに気がつき、俺は試しにそっとそこを撫でてみた。
(あれ…?)
おかしい。いつもなら弾力のある感触が返ってくるのに、今日は「中身」を感じない。
「薪さん、耳は…?」
「ん…?ああ、これか?」
俺が腕を解くと、薪さんは上目遣いに帽子の方を見てその部分をポンポンと軽く叩いた。
「今日は便宜上引っ込めてあるんだ」
引っ込めてって…まぁ、前にもあえてカチューシャ…とかいうことはあったけれど。便宜ってなんの便宜だろう?そんな俺の疑問を読んだように、薪さんはフフン、と鼻で笑って見せた。
「ほら、これがあるから」
ひょい、と俺の前に薪さんが持ち上げたのはさっきのーー俺の後頭部に勢いよく飛んできた…黄色い巾着だ。
「何なんですか?これ」
「これはだな」
言うと、薪さんは中を開けてごそごそと何かを引っ張り出してきた。もったいぶるように披露されたものに目を落とす。
「ツノ…?」
出てきたのは、おそらくは鬼のーー角のカチューシャだ。
ということはつまりまたこれは……。
続けて薪さんは巾着の中から細長い紐状のものを引っ張り出してくる。よく見ればそれはトラ模様のベルトで、それをひょいと腰に回すと、薪さんは手早く留めてニットをブラウジングさせた。すると、裾からチラリと同じトラ模様が覗く。
「ほら、今日は完璧だろ?」
もはや何が完璧なのか基準はわからないが、薪さんの中ではこれぞ完璧!なコスプレだったらしい。右脚をさっと前に出してわかりやすくニットの裾をちらっと捲り上げ、中のホットパンツをこれ見よがしに見せる薪さんは一人ご満悦な様子で、俺は半ば呆れながらも何とか笑いを堪え、ええ、と頷くことに成功した。…多少間違っている気もするけれど、ちょいエロだし今回はいつもの迷惑系にはなっていない。
「また買ったんですか?ド◯キで?」
「いや、これは通販だ」
…いくらしたのかは知らないが、俺には前々から言っている通りこの手の趣味はないので勿体無い話ではある。ただ、どうやら最近のこれはもう、俺を喜ばせるとか気を引きたいとかではなくそもそも趣味のようなものになりつつあるようで、薪さんが楽しいのなら、それはそれでいいことだ、と思えるようになっていた。
(うん。よく見るとなかなか似合ってるし可愛いかもな)
苦笑しながら薪さんの手からカチューシャを取ると、俺は猫耳帽を取って頭につけてやった。
「どう…?」
「ハイ、なかなかいいですよ。今までのコスプレの中では一番よくお似合いかもしれませんね」
これぞほんとの鬼上司!って感じで、と俺が言うと、勢いよく猫パンチが飛んできたのは言うまでもない話だ。…うまくまとめたつもりだったのに。




「少食の薪さんにはこっちの方がいいかと思いまして」
俺が自分用に買ってきた太巻きではなく中巻きの方を見せると、薪さんはうん、と小さく頷いた。
コポコポコポ、とフリーズドライの味噌汁にポットのお湯を注ぎ、かき混ぜる。いつも舞にやってやる癖でフーフーとそれを冷ましていると、しまったと我に返った。…何をやっているんだ俺は、子供相手じゃないんだから。
案の定そんな俺の様子を、薪さんはぬかりなく観察している。テーブルに頬杖をついておかしそうに笑っている目に気づき、俺は気恥ずかしさに視線を逸らした。
「ふぅーん?いいパパなんだな」
「……一応イクメンですからね」
「ふぅーん?おまえのキャリアと若さなら、子供がいたって一緒になってもいいっていう女性は結構いるんじゃないのか?舞ちゃんだって思春期みたいに難しい歳じゃない、まだ幼いんだから」
「……薪さん」
またこの人は…。俺が露骨に悲しげな顔をしたせいだろう。今のは本気度が高い台詞にも聞こえたが、薪さんはすぐに冗談だ、と肩をすくめると誤魔化すように苦笑した。
「そんな顔するなって。もうからかえなくなるだろ?心配しなくてもおまえは僕のものだ。このポジションは簡単に誰かに譲ったりはしない」
「…嬉しいんですけど、味噌汁と巻き寿司を前に聞くと微妙ですね」
「微妙にしたのはおまえだ」
いや、そもそも鬼コスで言ってる時点で真剣度は半分くらい薄らいでますよ。俺の切り返しにぷっと吹き出しながら、薪さんは中巻きを手に取る。
「で?これ本当に一人で食べるのか?一本丸ごと?」
「ええ。今年は南南東を向いて丸かぶっちゃって下さい。…あ、そうだ。食べ終わるまで喋っちゃダメですからね!」
「…おまえ、完全にのせられてるな」
「のせられてるって?何にですか?」
「いや…、巻き寿司業界とかに」
巻き寿司業界って何ですか…?
「南南東ってどっち?」
そう言えばどっちだろう。俺はスマホのアプリを出して方角を確認した。
「方位磁石がなくてもこうやって簡単に確認できちゃうんですから、便利な世の中になりましたよねぇ」
「いちいちジジくさいやつだな…で?どっちだって?」
「ええっと、ベッド側ですね。あっち向いて一緒に食べましょうか」
うん、と頷いた薪さんは素直にそちらを向く。中巻きを持ち上げ早々にスタンバイしてしまったのを見て、俺も慌てて同じ方を見て隣に正座した。
「いただきます、でいいのかな?」
「どうでしょうね。一応言っときますか?」
相変わらず線引きがわからないが、変なところで薪さんは真面目だ。じゃあ行くぞ、とこちらをちらっと見てから、薪さんは少し上を向いてアーン、と口を開けた。そのままパクリ、といきそうになる横顔に、自然と目を奪われた。
(アレ…?何だろ、妙に…)
ええっと…何をドキドキしてるんだろう俺は。
ぽかんと口を開けて見入っていたので、さすがに露骨な視線を感じたのだろう。もう少しでパクッといきそうなところでふっとこちらに気づいた薪さんが、動きを止めて振り返った。
「青木?何してる…?」
眉を寄せて訝しげにこちらを見上げると、いえ別に、とごまかす俺を薪さんはしばし凝視した。
「……おまえ、やっぱりあっち向け。背中合わせで食べよう」
何を思ったか、薪さんはあっち、とベッド側とは反対の壁を指し示すと俺の身体を背後へ押しやった。
「ちょっと!なんですかおもむろに!これはちゃんと方角を守らないとですね」
意味がないんですって!
「もとより何の謂れもない商売人が考え出した風習だろ。守ったところでナンセンスだ!」
「どうしたんですか急に!?一緒に食べるって言ってたでしょ?」
「…気が変わった。丸かぶってるところはおまえに見せたくない」
「ええっ!?いいじゃないですか別に減るもんじゃなし」
「ダメだ!っていうかダメな気がする!」
「じゃあ見ませんから」
ね?と言うと、薪さんはしばらくの間考え込む間を作り、程なくして巻き寿司を一旦皿に戻した。
「…青木、タオルは?」
「は?」
「タオルだ。おまえは目隠しで食べろ」
「ええっ!?目隠しって言えば薪さんでしょ!?」
「――どこで読んだそれ!」

…結局。俺は自分でタオルの目隠しをして巻き寿司を食べる、という罰ゲームのようなことをさせられる羽目になってしまった。はっきり言うが視覚的な情報がないと何を食べているのか実感がなく、うまくもまずくもない。こんなに味気ない食事があったものだろうか、という食事を終え最後の一口が胃の中に消えると、俺は「食べました?」と隣にいるはずの薪さんに訊いた。「ま」「だ」と背中に指文字が書かれる。さっきはあれほどこんなことに意味はないと言っていたのに、最後まで喋らない、を守る気でいるらしい。
「食べたらはずしていただけますか?これ」
今度はポンポン、と背中が叩かれた。オーケー、という意味だろうか…指文字も面倒になったようだ。
しばらく待っていると、唐突にハラッとタオルが外され目の前が明るくなった。照明の明るさが目に眩しい。
傍らに目を遣れば、薪さんはまだ片手で口を覆いもぐもぐと動かしているところだった。今度は逆に背中をトントンと叩いてやり、俺はそのままテーブルの上に置いておいた急須にお湯を注いだ。
「お茶入れますから、待ってくださいね」
「…ん」
「よく噛まないと飲み込んじゃダメですよ」
「…ん」
「インスタントですけど、みそ汁もどうぞ。温まりますよ」
「うん」
やっと口の中のものがなくなったらしい。薪さんはお茶を飲んでホッとひと息つくと、適温になった味噌汁に手を伸ばした。モフッとした手に包まれると、なんの変哲も無いお椀ですら可愛く見える俺の目が可愛い。
「…そう言えば、珍しいことですよね?こんな風に一緒に食事なんて…っていうかあなた生霊なのに食事とか大丈夫なんですか?」
食べたものはどこに行くんだろうか?中巻きとか…中巻きは?
「ん、大丈夫みたいだな」
生霊薪さんの胃袋は本体の胃袋ときっと直結しているのだ…そうに違いない。
「…そんな他人事みたいに…。でもこれできっと、無病息災ですよ、今年」
ふぅん?と薪さんは気のない返事をしながら一口味噌汁を口に含む。
「…体調管理は自分で何とかするから、今年は暗殺とか失脚とかその手のことから無事に過ごしたいもんだな」
「…俺は自分が連載から消えないことを切実に祈りたいです」
以上、今年の抱負でした。



食事が終わると、薪さんはすっかりだるくなってしまったらしい。皿を片付けにキチンに向かった俺が部屋に戻ると、でろんとクッションに埋もれて伸びきり、しっぽ以外はほぼ動かなくなっていた。
「薪さん…?大丈夫ですか?豆まき、もうやめますか?」
「……まく」
「マキだけに?」
「……おまえ、うざいぞ」
うざい、だなんてイヤな言葉を使うのは許せない。俺がペンッ、とトラ柄のホットパンツを叩くと、それまでは寝ているのかと思うほど反応の薄かった薪さんががばっと身を起こした。
そこをここぞとばかりに狙って、俺は小脇に抱えていた豆をまく。
「鬼はぁ外ぉ!」
「うわっ!」
急襲を受け、青木の馬鹿!と抗議の声を上げた薪さんは野生動物のように俊敏な動きで部屋の隅へと逃げていく。どこに向かうのかはだいたい見当がついていた。だが構わずに、俺はくるりとそっちに背を向けて逆の方に今度は「福はぁ内ぃ!」と豆をまく。ちょっと面白いような、虚しいような…でも仕方なく振り向くと、予想通りの場所に隠れていた薪さんめがけて再び豆をまいた。
「鬼はぁ外ーぉ!」
「!何で僕が鬼なんだ!」
「だって自分で鬼の格好して来たんじゃないですか。鬼が人に豆をまくなんておかしいでしょ?」
応じながら俺はさらに薪さんの方へと向かった。
薪さんが隠れていたのは、俺がいつも部屋の隅に置いているクマのぬいぐるみの「鈴木さん」の後ろだ。鈴木さんは大きいので、薪さんが小さく身をひそめれば全部とまではいかないが程よく隠れることができるのだ。そこしかないとはわかっていたけれど、複雑な場所である。
「福はぁ内ーぃ」
再び背を向けて豆をまき振り向くと、鈴木さんの横から顔だけをのぞかせていた薪さんと目が合った。顔には「ずるいぞ」と書いてある。けれど鈴木さんにぴったりしがみついて一生懸命その陰に身を隠しているその人を、簡単に許してしまっていいものか。
俺は薪さんをしばし見下ろしてから深々と溜息をつき、鈴木さんの腕に手をかけた。…やれやれ。
「ちょ…っ!すず――」
薪さんの猫手が、させじと鈴木さんの胴体をがしっと掴む。慌ててた様子でそちらに気をとられ、薪さんが無防備になった瞬間を狙い、俺はその場に片膝をつくと身を屈めた。片手を伸ばし、薪さんの片腕を捕らえる。
「――ッ」
唇がぶつかる寸前、不意をつかれた薪さんが目を瞠るのが見えた。
「……鈴木さんにはしばらくあっち向いておいてもらいましょうね?鬼さん」
唇を離すと、俺は取り上げた鈴木さんをくるりと回転させ、壁の方を向かせて座らせた。…もちろん、薪さんからはできるだけ離し遠くに。
「……青木!おまッ…憶えてろよ」
ギッと鋭い目で薪さんは俺を睨む。第九時代なら縮みあがったかもしれないが、最近はこんな顔すら可愛いと思ってしまうから慣れというものは便利だ。
「はいはい、もちろん、憶えておきますよ」
ずっと、と俺は短く付け加えた。どんな時も…今、この時も。ふたりで過ごす一秒さえ、とりこぼすことなく俺はしっかりと記憶し続けるだろうと思う。もし先の世に、俺の脳を見る人がいたなら…こいつはよくこんなことまで、と呆れてしまうくらいに鮮明に。
「薪さん――」
壁際に鬼を追い詰め、その熱い息を奪う。
今夜は決して、外になんて逃がしてやらない。
人の子を憐れんだ鬼の手が、やがてゆっくりと俺の頬を包んだ。



(終わり)


日付が変わっちゃったので、今日はもう節分やなくて立春ですね。そして明日は新装版5・6巻発売日です(笑)…計算が狂いました。おやすみなさい(⌒-⌒; )


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Comment

Name - eriemama  

Title - Re: コスプレ衣装はいずこ?

こんばんは(*^^*)

> そしてわたしも、たきぎさんと一緒で、コスプレ衣装の行方が気になります。

ほんとですね(笑)案外邪魔だから、とかで青木宅に放置していたりするのかもしれません(笑)
それか使い捨て、とか…←すっかり浪費家薪にゃん(^^;;

> 薪にゃん、本体に見つかるとやばいってんで、クローゼットの隅っことかに隠しておくんでしょうね。でも、こないだのカボチャとか、かなりかさばると思うんですよ。
> それらを見つけて「???」てなる薪さんが見たい~(笑)

それいいですね(笑)薪さん、薪にゃんにニアミスw
…というか、薪さんと薪にゃんの関係が私の中ではまだ決着がついていなくて(^_^;)。どうでもいいんですけど(笑)、生霊ってアバウトすぎな設定なものですから。。。
薪にゃんは薪さんの意識下にあるのか、はたまたジキルとハイドみたいに別人格なのか、薪にゃんはドッペルなのか?(笑)とかもうグルグルと…あ、ドッペルはダメですね、死の予兆とか言いますもんね、縁起でもないですわ(・・;)

でも、自分で買った覚えのないものがいつの間にか家に、ってちょっとしたホラーですよね(笑)。しかもクローゼットに隠すように、なんて(笑)。薪さんのことだから、そんなことが続けば監視カメラでもつけそうです…薪にゃん、写るんでしょうか(⌒-⌒; )
2016.02.10 Wed 23:51
Edit | Reply |  

Name - しづ  

Title - コスプレ衣装はいずこ?

こんばんは~。
薪にゃんの節分SS、楽しませていただきました♪
薪にゃんのコスプレ癖はもちろん笑えますが、青木さんがすっかり薪にゃんの取り扱いに慣れてる辺りがw 笑いと萌えと、両方満たされる感じです。

そしてわたしも、たきぎさんと一緒で、コスプレ衣装の行方が気になります。
薪にゃん、本体に見つかるとやばいってんで、クローゼットの隅っことかに隠しておくんでしょうね。でも、こないだのカボチャとか、かなりかさばると思うんですよ。
それらを見つけて「???」てなる薪さんが見たい~(笑)
2016.02.10 Wed 20:06
Edit | Reply |  

Name - eriemama  

Title - Re: オニコス

> それにしても薪にゃんと青木くんだととたんに微笑ましいですね。

こんな風に微笑ましく原作のおふたりさんを眺めてみたいものです…(笑)
最近ちらほらとそんなところも見受けられますが、実際のところは相変わらず…ですもんね〜。
どーにかなんないのかなぁ(笑)もう、BL色排除は映画に任せてくっついてくれればいいのに(⌒-⌒; )
薪さん幸せになっちゃえばいいのに(つД`)ノ

> でも最後はおいしくいただかれてしまったんですね。
> 後ろをむかされた鈴木くまの心中やいかに!!

はい、おいしく(笑)
クマの鈴木さんにはいつも申し訳ない…(^^;;今さら後ろ向かされてももう色々見てるっちゅうねん!と言っていることでしょう(^◇^;)
そのうち青木部屋には生霊薪にゃんではなく6巻で薪さんの後ろにいた鈴木さんや貝沼先輩が出てこないかが心配なところです(笑)

2016.02.07 Sun 22:20
Edit | Reply |  

Name - ねこじゃらしにゃんたろー  

Title - オニコス

ふふー!薪にゃん鬼コスなんですね!無駄遣い大王だな!

それにしても薪にゃんと青木くんだととたんに微笑ましいですね。
「以上、今年の抱負でした」っていうのがおかしかった
薪にゃん(さん?)が暗殺や失脚がありませんようにで青木くんが連載から消えませんようにって!!なんだろう、このチグハグさ!

でも最後はおいしくいただかれてしまったんですね。
後ろをむかされた鈴木くまの心中やいかに!!
2016.02.07 Sun 16:25
Edit | Reply |  

Name - eriemama  

Title - Re: 爆笑!

> こちらの薪にゃんシリーズはツッコミどころが満載でいつも大笑いしながら読んでます。

ありがとうございます(^^;;
その前が真面目に誕生日やったので、おふざけは楽しかったです。青木、書きやすい( ; ; )

> コスプレ薪にゃん、通販って……! 買ったものは薪さんのお宅に届くのでしょうか。

うーん…どうなんだろう(笑)いつのまにか身に覚えのないものが…みたいな…?(笑)どっちの時に注文してるんでしょうかね(・・;)

> トラ模様で思い出しましたが、ラムちゃんの等身大人形が100万円位で限定発売するの、どんな層が買うんだろう。

嘘ーンΣ(・□・;)等身大のラムちゃん!?…高いな;;;;;
普通の若いオタクではポンと買えないでしょ(ーー;)
等身大薪さんが100万で出てもさすがに買わないな…(ドキドキ)
あ、しまったいっそ薪にゃんに「大好きだっちゃ!」とか言わせときゃよかった…←コラ

> 目隠し、にゃんたろーさんのところでは岡部さんが読んでましたが、こちらでは青木くんが読んだんですね。でも、読んで大丈夫だったの……? 

みんなが知ってる薪さんの秘密…(笑)もうそーゆー仲になっちゃえばいいのかな?どうでしょうね(笑)青木のことだから右から左に受け流してくれることでしょう…(^^;;
2016.02.05 Fri 17:50
Edit | Reply |  

Name - eriemama  

Title - Re: 耳は便宜上wwww!!(笑)

> なんの便宜かと思いましたよお〜〜〜っ ツノだー!

ヒロだ〜!←わからないですよね(^^;;

> まさか青木が出演継続の危機を感じていたとは!!…あーおかし(; ∇ ;)
> 薪さんが降板なんかさせないよっ(笑)

スピンオフの主役を薪さんがはってる限りフェードアウトはしないと思いますけど(笑)でも、青木にももうちょっと出演してもらいたいよん、という願いを込めてみました(笑)

> 窓開けたら後ろにいたっていうところで、奥様は魔女(ご存知かな…?)を思い出してしまった私です……(笑) (サマンサー!可愛かった…!魔法をかけるときピロリロリン♪て音がするんです…笑。あ、ピロリロリンかな…?ポンポコリン…??)

わかりますよ(笑)そっかなるほど〜、生霊じゃなくて、魔女?やっぱり?(^^;;私もどんな音やったか思い出そうとしてるんですけどはっきりしない…ピロリロリン、かな???
2016.02.05 Fri 17:39
Edit | Reply |  

Name - たきぎ  

Title - 爆笑!

こちらの薪にゃんシリーズはツッコミどころが満載でいつも大笑いしながら読んでます。

コスプレ薪にゃん、通販って……! 買ったものは薪さんのお宅に届くのでしょうか。
トラ模様で思い出しましたが、ラムちゃんの等身大人形が100万円位で限定発売するの、どんな層が買うんだろう。

目隠し、にゃんたろーさんのところでは岡部さんが読んでましたが、こちらでは青木くんが読んだんですね。でも、読んで大丈夫だったの……? 
2016.02.04 Thu 22:51
Edit | Reply |  

Name - ゆけ  

Title - 耳は便宜上wwww!!(笑)

なんの便宜かと思いましたよお〜〜〜っ ツノだー!
やー、今回も笑わせていただきました(笑)
まさか青木が出演継続の危機を感じていたとは!!…あーおかし(; ∇ ;)
薪さんが降板なんかさせないよっ(笑)

窓開けたら後ろにいたっていうところで、奥様は魔女(ご存知かな…?)を思い出してしまった私です……(笑) (サマンサー!可愛かった…!魔法をかけるときピロリロリン♪て音がするんです…笑。あ、ピロリロリンかな…?ポンポコリン…??)
2016.02.04 Thu 20:04
Edit | Reply |  

Name - eriemama  

Title - Re: 一番乗り!!

> …て、寝ましたよね(笑)

すみません、ぐっすり寝てました(ーー;)おはよーございます(。-_-。)

> きっと薪さんも王子の前とか、気を許してたら無意識に可愛いとこ見せてくれたりすんのかなぁ。青木、がんばれ。

同じように薪さんを甘やかしたとしても、対鈴木さんだとデレ、対青木だとツンではないかなぁ、薪さん(笑)
やっぱ初恋の君とそれを経ての運命の相手とでは色々違うということでしょうかね(・・;)?
なかなか青木とだと甘い雰囲気にできなくていつも苦戦しちゃいます。

> 新装版発売までみなさま静かだなあと思ってたら、おやすみ前にこんな可愛いの見つけて嬉しいです( ´∀`)

昨日はなみたろうさんとこもたきぎさんとこも更新でにぎやかでしたね( ^ω^ )
次は新装版発売の明日かな?週末くらいまでは盛り上がれそうですね〜。
そしてその次はバレンタイン!ですよ〜〜(≧∇≦)

> 薪にゃん今夜もなんとか美味しくいただかれてよかったね!

お粗末様でした(⌒-⌒; )
2016.02.04 Thu 09:49
Edit | Reply |  

Name - なみたろう  

Title - 一番乗り!!

…て、寝ましたよね(笑)
ちょっとズレたコスプレする薪にゃん、ほんとに可愛い(*≧∀≦*)
きっと薪さんも王子の前とか、気を許してたら無意識に可愛いとこ見せてくれたりすんのかなぁ。青木、がんばれ。

新装版発売までみなさま静かだなあと思ってたら、おやすみ前にこんな可愛いの見つけて嬉しいです( ´∀`)
薪にゃん今夜もなんとか美味しくいただかれてよかったね!
2016.02.04 Thu 00:47
Edit | Reply |  

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