GARDEN CITY LIFE~annex~

お越しいただきありがとうございます。当ブログは清水玲子先生の『秘密』のレビュー(時にネタバレ)と二次創作(こちらは一部BL要素含)のざっくり二部構成になっております。記事は単純に日付順に表示されておりますので、お読み頂く際はサイドバーや記事一覧などでカテゴリーをご確認またはセレクト頂けますと安心、安全です<(_ _*)>

薪にゃんと一緒(鈴木さんも一緒(?)【前編】) 

こんにちは。
今日は鈴薪祭りになるのかはわかりませんが(というかまだお祭り用に書いたのは手直し中で)、先日の青薪SS(インコのやつです)を書いている横で書いておりましたSSになります。
場所は(笑)、猫の日編の別荘的などこかを再利用しております(;^ω^)
その他もろもろ、おい、とかこら、とかつっこみたいところ多々あると思いますが、広い心で受け流していただけると助かります。では。




薪にゃんと一緒(鈴木さんも一緒(?)【前編】)


今、何時だろう。
時間の感覚がない。ひょっとするとまだ朝かもしれないけれど、珍しく空腹で目を覚ました気もするから、もうお昼は当に過ぎているのかもしれない。僕はゆっくりと数回の瞬きを繰り返してから、すっぽりと背後から抱きすくめるように回されていた青木の腕をそうっと持ち上げ、なるべくベッドを軋ませたりしないよう慎重に身体を起こした。それから、両手で支えているその腕を引き続きそうっとそうっとベッドの上に横たえる。脱力している人間の身体はパーツでも結構重い。日頃僕はこの青木の引き締まった腕がとても好きなのだけれど、この時ばかりはさすがにそれも忌々しく思えた。
最後に青木の掌に添えていた自分の手を引き抜いて、ホッとひと息つく。
ふと風を感じて振り向くと、戸口のドアがわずかに開いていた。シャワーの後部屋に戻った時閉めたつもりだったけれど、半開きだったのかもしれない。遮光率の高いカーテンのせいで薄暗いこの部屋と違い、ドアの向こうに覗くリビングの方は白い光に包まれてとても明るく見えた。僕は目を眇めてそちらをしばらくぼんやりと見つめ、改めて自分の空腹感に思い至りベッドを降りた。
青木はまだ起きない。
起こすこともないか、自分でおやつくらいなら作れるし…。
はだけたシャツの前を合わせ、足音を忍ばせて下着を探す。それから床に脱いだままだった短パンを拾い上げ足を通すと、僕はドアの隙間から室外に滑り出て後ろ手にドアを閉めた。勿論、音は絶対にさせない。
ひたひたと裸足で歩く床はひんやりして気持ちが良かった。廊下を抜けてリビングに入ると、開けっ放しになっている窓からやわらかい風が吹き込んでカーテンを揺らしていた。
その横を通り、僕はキッチンへと向かう。ウォーターサーバーからコップに半分の水を注ぎ入れると、腰に片手を当ててごくごくと一気に飲んだ。
別に何をしていたわけでもなく、ダラダラとベッドの中で過ごしていただけだけれど(いや、そうでもないかな…)、新鮮な水を注がれると、気怠い身体が気力を取り戻す気がする。
「――ッハァ、生き返る!」
別に死んでいたわけじゃないけど、そんな風にひとりごちて僕は綺麗に磨き上げられてピカピカのシンクの前に立った。
(さて。どうしよう)
何か食べたいけれど、と時計を見てギョッとした。
「えっ!?もう2時!?」
どうやらお昼ご飯をすっ飛ばし、本当におやつの時間がもう直ぐだったようだ。
青木を起こしてありあわせで何か作ってもらおうかとも思ったけれど、すぐにやめようと思い直す。
だってできれば軽く何かお腹に入れた後で、もう一度部屋に戻ってしばらく寝顔を隣で見ていたいから。
これは誰にも内緒だけれど、寝ている時の青木はとても綺麗なのだ。珍しく僕が先に起き出してガサガサしていても寝こけているっていうのに、起こすなんて勿体ないくらい。
「ええっと、じゃあ…」
僕は先日青木に教えてもらったお菓子を思い出した。そうだ、あのおいしいおやつを作ろう。この前は一緒に作ったけれど、あれならきっと一人でもできる。しばらくしたら青木を起こして、一緒に食べればいい。僕がお腹を空かせているということは青木はもっと空腹で目を覚ますに違いないから、すごく喜んでくれる筈だ。うまく作れていたら褒めてだってくれるだろう。
思いつきにしてはとてもいい考えだと思った。
「材料は――」
それは別に火も水も牛乳も卵も使わずにできる簡単なおやつだ。市販のお菓子などを組み合わせるだけで済む。包丁だっていらない。
3分もあれば充分できます。
青木が自信たっぷりに言い切ったように本当にあっという間に出来るそのおやつは、間違いない味ですよ、という青木の言葉通りたちまち僕のお気に入りになった。
「ビスケット、ビスケット…」
まずはそれがないと始まらない。戸棚の扉を開け、前に作った時の残りを探した。青木は軽いお菓子類を一番上の棚に入れている(僕が勝手にそれを出してきて、ご飯がわりに食べないように、という理由もあるらしい)のだけれど、青木の背丈なら少し伸びをすれば手が届く最上段のカゴに、僕は飛び上がっても指すら掠らない。
仕方なくジャンプは諦めて、踏み台になりそうなものを探した。ええっと、何か高さがあって乗っても壊れそうにないものは…。
「このカゴでいいの?」
「え?」
キョロキョロと視線を落とし気味に周囲を見回していた僕の頭上から、不意におかしそうな笑いを含んだ声が降って来た。
青木が起きたのかとも思ったけれど、口調がはっきりと違う。それに、この声――
どこかで聞いたような…。そう思ってパッと振り向いた僕は、ぽかんと口を開けたままそこにいた人物を見上げた。
(え……!?)
「どうぞ、姫」
恭しく一礼してお菓子が入ったカゴを絶句したまま立ち尽くしている僕の前に差し出す。おどけた仕草と口ぶり。時々僕を姫と呼んだのは、彼が初めてだった。
「鈴木…!?」
「可愛いな、この耳。今のご主人の趣味?」
鈴木はそう言って、僕の頭についた猫耳を指で弾いた。細められた目が、愛おしむように僕を優しく見下ろす。
「――…」
今のご主人…。そうだ、僕のご主人は――ご主人は。
(……?あれ?誰だっけ?)
そんなことよりも。
僕は渡されたカゴを受け取り胸の前に抱え持ったまま、懐かしい目の前の顔をじっと見上げた。
「本当に鈴木?…何でいるの?」
「何でとはひどいなぁ。会いたかったから会いに来ただけだよ」
「僕も会いたかったよ。でも会いに来てくれたことなんてずっとなかったじゃない」
「会いに来てたよ。けど隠れてたから…わからなかった?」
隠れてた……。
思い当る節がなくもない。ちょっと薄らいでいたその記憶を思い出し、次いで僕はサーッと血の気が引いていくのを感じた。
「――ひょっとして、それって血だらけの」
いつかの室長室的な…?
今日はすごく爽やかに見えるけど、それは仮の姿ですぐにまた戻っちゃうとか――
「違う違う、それはおまえの妄想だろ?そんなに青ざめるなって。…おまえ、しばらく会わないうちにまたちょっと面白くなった?」
こつん、と僕の額を小突くと、鈴木はハハハと笑ってカウンターの向こう側に回った。そうか、笑い飛ばせるのか…良かった。
それに、ちゃんと足がある。幽霊じゃない…?
「ねぇ鈴木」
僕はその姿を目で追いながら、持ったままだったカゴをシンク横の作業台に乗せた。
「いつまでいられるの?」
「もうお別れのこと考えてるの?」
カウンターに肘をつき、鈴木は苦笑する。
「心配しなくてもいいよ。ずっといるから」
「ほんと?ずっと?」
「うん…それより何か作るんじゃないの?」
「あぁ、うん。お腹空いたんだ。鈴木も食べる?」
ああ、と鈴木が笑顔で頷く。鈴木がずっと一緒にいてくれる。僕の作ったおやつを一緒に食べてくれる。僕はたちまち嬉しくなって、さっき鈴木が取ってくれたカゴの中からハーベストのパックを取り出した。それから、マシュマロも。


(後編に続く)
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Comment

Name - eriemama  

Title - Re: はあ~~ん( ;∀;)

> ああっあの時の幼な妻薪にゃん、いや仔猫薪にゃん!!かわええなあ~~( ;∀;)
> 私もファンですよ!
> 今日も抱っこされてる青木の腕をよっこいしょ、ぐわ、激かわ。死ぬ。

ありがとうございます~(^^)
自分で書いといて何なんですが、幼な妻薪にゃん、結構気に入ってます(笑)
青木がロリコンに見えちゃうのが難なのですが、ま、実年齢で言うと薪にゃんおじさん猫だし(-_-;)いいか。。。

> ところで「高いとこのモノを取ってもらう」がイケメンシチュエーションらしいですが、身長152センチのなみたろうはこのような場面に遭遇しやすい……と思いきや性格が可愛くないのですぐ梯子に登るとゆう。そりゃもうガンガン登る。イケメン追い付けない。

そうだった!(笑)
これはあれですね、薪さんにハマってすぐ、秘密の続きを探し求めて辿りついた書店で
高いところにいらっしゃる薪さん求めてスカートにもかかわらず脚立上っちゃった、あれですね???(カッコイイ…)
しかももしかしてあの時ヒールでいらっしゃった…?私はあれダメなんです。ユニクロの脚立とかも登ったことなくて、
高いところにしかないと諦めて帰ります(←何それ…店員さんに言って;;)
あの不安定で狭いところに立って、上向いて作業してるとどうしても
フラッとなりそうで怖いんです(;´Д`)下見るより、高いとこ見る方が怖いって…これ何なんでしょうね。
2016.04.25 Mon 10:35
Edit | Reply |  

Name - eriemama  

Title - Re: イヤアアア!切らないでえーー!(号泣)

> すすす鈴木をどこへやった!鈴木を出せっ!;;;
> (モンスター読者になりさがっている……超ーこわーい;;

アハハ(^▽^;)こわくないこわくない(笑)
薪にゃんのお話は、基本お伽噺のつもりですから(笑)
これなんてメロディまでのつなぎのつもりだし、元々猫の日編のお返し編のつもりだったんですw

> あ、あれみたいなもんですね、ミザリー…?

ミザリー!←スミマセン爆笑しました(^_^;)
いや、でも、見方によればそれっぽくも見えるのかな?(クオリティーが中途半端で泣けますが)
あっ、お客さん出て行かないで;;;;

> 鈴木どこいっちゃったんですかぁ〜〜〜

どこ行ったんでしょうね(^^;)
自分でも書いててナゾ。。。(ただいま楽しいオチをお待ちしております)
2016.04.25 Mon 10:23
Edit | Reply |  

Name - なみたろう  

Title - はあ~~ん( ;∀;)

ああっあの時の幼な妻薪にゃん、いや仔猫薪にゃん!!かわええなあ~~( ;∀;)
私もファンですよ!
今日も抱っこされてる青木の腕をよっこいしょ、ぐわ、激かわ。死ぬ。

ところで「高いとこのモノを取ってもらう」がイケメンシチュエーションらしいですが、身長152センチのなみたろうはこのような場面に遭遇しやすい……と思いきや性格が可愛くないのですぐ梯子に登るとゆう。そりゃもうガンガン登る。イケメン追い付けない。
関係ないですね、すいません。鈴木王子はさすが王子、ってことで。
続きプリィーーズ!!щ(゜▽゜щ)
2016.04.24 Sun 22:24
Edit | Reply |  

Name - ゆけ  

Title - イヤアアア!切らないでえーー!(号泣)

すすす鈴木をどこへやった!鈴木を出せっ!;;;
(モンスター読者になりさがっている……超ーこわーい;;
あ、あれみたいなもんですね、ミザリー…?
あっ;; 追い出さないでくださいっ;; おっ押さないでっ;; あ、出口あっち??あざーす。……いやいや!)

鈴木どこいっちゃったんですかぁ〜〜〜
2016.04.24 Sun 21:44
Edit | Reply |  

Name - eriemama  

Title - Re: あ、青木……

> 寝てる間に…鈴木さん現る!
> しかも、薪にゃんに忘れられてるし(笑)

ほら王子、腹黒だから…(笑)←ほんまに好きなんか?(゚∀゚;)

> 手が届かない高い所のものを取ってくれるのは王子の王道ですよねぇ( ´ ▽ ` )ノ

モニタリングでもこみちくんがやってましたがイケメンがやると様になりますね(^_^;)

> 鈴薪ヤバイですね…マジで(笑)

ヤバイよヤバイよ(;゜∇゜)です(笑)

> 薪にゃんの喋り方がまた可愛すぎてツボです。

猫の日編に続き、あえて幼くしてます。これ、多分嫌いな方は嫌いだと思うのでちょっとドキドキしつつアップしたのですが…可愛い頂けてホッとしました(^o^;)

> この後、2人でお菓子を作って
> 青木は寝てる。と?笑

フフフ…ずばりそれしかないですよね(* ̄∇ ̄*)
間がもたないので、青木、起こしてきます(笑)
そうなるとなんか、彼女と元彼の秘密の逢瀬に自分家で遭遇、みたいな修羅場ですね…
2016.04.24 Sun 19:57
Edit | Reply |  

Name - BON子  

Title - あ、青木……

寝てる間に…鈴木さん現る!
しかも、薪にゃんに忘れられてるし(笑)

手が届かない高い所のものを取ってくれるのは王子の王道ですよねぇ( ´ ▽ ` )ノ
しかも、姫呼びでもう…
鈴薪ヤバイですね…マジで(笑)
甘いです。薪にゃんの喋り方がまた可愛すぎてツボです。
この後、2人でお菓子を作って
青木は寝てる。と?笑

後編楽しみです!!(*^^*)
2016.04.24 Sun 18:57
Edit | Reply |  

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