GARDEN CITY LIFE~annex~

お越しいただきありがとうございます。当ブログは清水玲子先生の『秘密』のレビュー(時にネタバレ)と二次創作(こちらは一部BL要素含)のざっくり二部構成になっております。記事は単純に日付順に表示されておりますので、お読み頂く際はサイドバーや記事一覧などでカテゴリーをご確認またはセレクト頂けますと安心、安全です<(_ _*)>

薪にゃんと一緒(勤労感謝の日編・後半戦) 

勤労感謝の日は暦の上ではとっくに過ぎ去りましたが、続きです(;^ω^) 気にしない気にしない…




薪にゃんと一緒(勤労感謝の日編・後半戦)


僕の方に伸ばされた手は、迷うことなく頭のねじりハチマキにかかった。
「これは取った方がいいです。邪魔でしょう?」
邪魔…そうだろうか。何事もまず形からだ。これは気合いの証明だったんだけど。
「長靴も脱ぎましょうか。どこで履いてるんだって以前に、シャワーが飛んで中に入ったら気持ち悪いし脱ぎ辛くなりますから」
だからこれはラバーブーツだってば。
青木にせっつかれ、僕はしぶしぶ気に入っていたそれらを脱いでハチマキと一緒に脱衣所に出した。ついでに、名残惜しいけれどもふもふハンドも。
「はい、次はエプロンを…」
ニコニコと笑いながら続けようとする青木は目線だけで牽制した。僕が流されると思ったら大間違いだ。確かに今日えらいのは青木の方だけど、調子に乗りすぎてもらっては困る。
「……わかりました、それはまぁいいです」
まぁいいって何なんだ。
「じゃあ、早くここに座れ」
「ここですか?」
僕が風呂用の椅子を指し示すと、青木はバスタブから上がるとそこによいしょと腰を落とした。だいぶ当初の計画は削がれたが、ユニフォームだけのことだ、と自分を納得させる。ミッション自体に支障はない筈だ。僕は青木の後ろに立つと、用意したカゴからボディソープを出してきて手に取った。シャワーのお湯を足して、指を立てるようにしてきめ細かい泡をたっぷりと作る。
そう言えば、こんな風に青木の裸の背中をじっくり見る事ってあんまりなかったかもしれない。湯船につかる時は向かい合っているか膝の上に後ろ抱きにされることが多くて、身体を洗う時も青木はいつも後ろにいるから。
改めて見ると、僕の貧弱な背中に比べると随分逞しくて大きな背中だった。こんな背中をしてたんだ、と僕は背後から青木の骨格をしばらく観察した。あんまりじろじろ見るわけにもいかなくて、両手で泡立てたボディソープを肩に滑らせる。しっかりと張った肩のラインは、これもまた撫で肩な僕とは全く違うものだった。
腕を持ち上げて洗う時はちょっとドキドキした。いつも僕を力強く抱きしめてくれる、一番大好きな腕。ご奉仕中に不謹慎だとブンブン頭を振って良くない考えは打ち消したけれど、この腕を触っているとぎゅっと抱いてもらいたくなってくる。思いっきり抱きついてすりすりするのもい――いやいや!僕はそんなことはしないぞ!?
手元に集中するポーズは続けながらちらっと上目遣いに青木の方を窺うと、彼は気持ちよさそうに目を閉じていて、どうやら内心の動揺を悟られずに済んだらしいことにホッと胸を撫で下ろした。
同じように反対の腕を洗ってから、ボディソープを追加して今度は後ろから腕を回して胸から腹部にかけてを洗う。最近ちょっとだけプニッとしてきた僕と違って、青木のその部分は引き締まって余計な肉がまるでついていない。そこに頬をくっつけて眠る時の心地良さをうっかり思い出してしまい、僕は再び頭を左右に振り回さなければならなかった。さすがに目が回りそうだったのでぎゅっと目と瞑ったけれど、妄想が瞼の裏から消えてくれなくて顔がすごく熱い。
まったく僕としたことが…今はご奉仕中なんだ、自分が癒される事なんか考えてちゃダメじゃないか。
平常心を取り戻し、ミッションに集中する。けれども、そのままついでに太ももを洗っちゃおうとして伸ばした僕の手は、不意にぐっと力をこめて手前の方へと引き戻されてしまった。次の瞬間、指先に触れた感触にハッとする。
「ちょ…っ、青木!?」
「飛ばしちゃダメですよ、ちゃんと順番に洗ってもらわなきゃ」
そう言うと、青木は自分の手を添えながら、僕の掌をそこに押し付けるようにして握らせた。
「順番って――そこは最後に」
飛ばしてなんていない。羞恥心と怒りからカッとなって顔を上げると、こちらを振り向いた青木の熱を帯びた視線と正面からぶつかり、心臓が一気に跳ね上がった。
「さ…っ、最後」
「今、お願いしたいんです」
僕の手首をつかんだ青木の右手に、さらに力がこもる。
「でなきゃ、我慢できません。薪さんだって、本当はそのつもりなんじゃないんですか?」
「そのつもりって、僕は別に」
「俺を癒してくれるんでしょう?」
ぐいっ、と力任せに引き寄せられ、バランスを崩した僕は青木の前につんのめって膝をついてしまった。出しっぱなしのシャワーが上から降り注いできてお湯が目に入り、反射的に顔を背ける。
「青木!あぶな」
態勢を整え、改めて抗議のため顔を上げようとしたところを襲われた。危ないだろ!?と言いかけた僕の声を遮り、勢いよく青木の唇がぶつかってくる。目を閉じる余裕もなく息を奪われ、口の中を蹂躙された。こめかみの辺りからまともにシャワーがかかり、当然だけど服はびしょびしょだ。
せっかくのエプロンが意味をなさなくなる――こんなんじゃミッションは失敗だ。
がっかりすると同時に突然の暴挙に苛立つ気持ちが沸々と込み上げ、僕は青木の額をぐいっと押しやると執拗なキスから逃れた。ぺたんと浴室の床に座り込み、とても惨めな気持ちでシャワーに打たれバタバタと音を立てているエプロンに視線を落とす。裏地に染み込んだ水分のせいで重みを増して来たそれを首から外し、同じくずっしりとしてきたセーターも脱いで傍に置いた。タンクトップと下着だけになると、途端に虚しさが胸を支配する。
せっかく僕なりに頑張ろうとしていたのに。
こんなの酷すぎる。
濡れた前髪が張り付いてくるのを手で払い、青木を下から睨みつけてやる。でも、青木は怯むどころか顔色を変えることすらなかった。
いつもならすぐにすみません、と言ってくる青木が謝らない。けれど悪いのは絶対に青木の方だ。
「気持ちは嬉しいですけど、薪さんは俺のこと何にもわかってないです」
黒目がちな目には怒りも悲しみも後悔もなく、少し前までの揶揄うような気配も普段のやわらかさも消え失せていた。ただただ真剣なまっすぐすぎる目が、僕を戸惑わせる。どういうこと?僕がわかってないって――わかってないのは青木の方じゃないか。目の前の男が何を考えているのかわからなくなって、僕はその視線から逃れるように顔を背けた。
「あなたに触られて俺が平気なわけないじゃないですか。背中を流してくれるって…冗談ならまだしも、本気でそのまま続ける気だったんですか?普通に?」
平気じゃない、という証は手を通して伝わってくる熱でよくわかった。でも、お風呂ではそういうことはしない。少なくともこれまではそうだった。だってお風呂はリラックスするための場所だ。それに、平気じゃいられない、なんて言われたら、最初から僕のミッションは成立しようもなかったことになる。しかも、冗談だなんて。むしろ僕は言葉通り普通に青木を労おうとしただけだ。他の意味を重ねたつもりなんてない。
いや、もしかしたら青木は、一緒に入ろうという誘いを断っておいてから、騙すような形でサプライズを仕掛けたことを怒っているんだろうか。
「……今日は一緒に入らないって、嘘をついたのは僕が悪かった。でもそれはおまえのために……おまえに喜んでもらいたかったから。だから今日はいつもと反対になろうと思ったんだ」
じわっと目から溢れそうになるものをぐっとこらえて、僕は声が震えるのを隠すようにボソボソと自分が考えていたことを打ち明けた。
「いつもと反対に?」
「いつもはおまえがせっせと動いて、僕はじっとしているだけで至れり尽くせりだろう?だから、日頃の感謝を込めて、それを反対に。青木に洗ってもらうのはすごく」
そこまで言って、僕は急に込み上げてきた恥ずかしさに言葉を飲み込んだ。落ち着くために一呼吸おき、慎重に言葉を選びながらこれが決して突飛な思い付きや悪ふざけなどではないことを説明する。
青木に触られるのは、とても気持ちがいい。掌から伝わるのは体温だけじゃない。大事にされている、愛されている。肌を通して流れ込むそんなあたたかく優しい感情に、からだと一緒に心が解きほぐされる。激しい情交は結ばなくても、触れ合うだけで睦みあえる。そんな穏やかな時間が僕は心から好きで、だから一緒にお風呂に入ったあとはそれだけでも満たされるのだ。青木は甲斐甲斐しいから、そのまま温もった身体が冷めないようにベッドの中でも優しく抱きしめてくれて、それから…その、そういうこともしたりするけれど――それはまた別の話だ。
「と、とにかくっ、今日は僕が青木になっておまえには僕になってもらいたかったんだ」
あの一連の時間に僕が与えてもらう安らぎを、今日は青木にも知ってもらいたかった。だから頑張りたかった。うまく言えないけれど、言葉にできない気持ちがこのミッションを遂行できれば伝えられるかもしれない、同じ種類の幸せを共有できるかもしれない、そんな風に思っていたんだけど。青木は違うんだろうか?僕の手からは何も伝わらなかったんだろうか。
僕は、間違ってた?
わかってない、なんて、おまえにそんな辛そうな顔をさせるつもりなんてこれっぽっちもなかったのに――どうしておまえはそんな顔をするんだ。
「薪さん…」
青木は僕の方を見つめたまま、ぱちぱちと目を瞬かせた。僕の手首を掴んでいた手から力が抜け、そっと離れていく。戻ってきた手には、青木のぬくもりが仄かに残っていた。
「すみませんでした、意地悪言って…俺のこと、一生懸命に考えてくれてたのに」
「青木」
「ごめんなさい。そうですよね…薪さんって、そういう人なのに。どうかしてました」
そう言って頭を下げる青木の腿に、僕はさっき返されたばかりの手を乗せた。僕が謝るのはおかしいと思ったけれど、青木が謝るのも違う気がした。
顔を上げた青木を、まっすぐに見つめる。
「青木、僕はどうすればいい……?」
「え?」
青木は小さく目を瞠り、それから困惑気味に口籠った。
「どうって……」
シャワーが床を叩く音だけが響く浴室は外ほど寒くはないけれど、濡れたままの身体は少しずつ冷えてくる。僕はシャワーが当たっているからいいけれど、青木の方は……。
「――」
一歩前に出て、所在無げに押し黙ってしまった青木の頭をお腹に抱え込むようにしてそうっと抱く。
「おまえの望むようにする。ここで…その、したいんだったら、それでも」
普通にお風呂に入ってもらうだけのつもりだったけれど。そっちの方がいいって言うなら、今日は特別にここでしてもいい。明るすぎるのが少し恥ずかしいけれど、それは我慢する。
「薪さん…」
僕の腕に手をかけてゆっくりと顔を上げた青木の目は、迷うように揺れていた。


(つづく)

この間からどうも手を引きずってますね、私…(笑)
大した進展もなく中身もスカスカなのに引っ張ってすみません(ーー;)次回、延長戦です。まとめきれませんでした;;



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Comment

Name - eriemama  

Title - Re: 延長戦

> 後半戦〜〜とおもったら、延長戦につづく〜〜(笑)

すみません、大したお話でもないのにまとめきれず…(笑)

> やはり、逆に捌かれてしまいましたね。薪にゃん。

このシリーズ(?)の薪にゃんはイメージ的にちょっぴりふくふくなので(笑)おいしそうだったんでしょうねw
これからもっと本格的に捌かれていただこうかと(^^;;

> 前からおもっていたのですがえりちゃんの青木はちょっとイケメン度が高いですよね?
> やはりイケメン好きなえりちゃんだから……?ふふふ。

ほんとですか?∑(゚Д゚)
いや、さすがに自分で書いた青木にときめくことはないんですけど(笑)、こうだったらいいのにな〜くらいのゆるい理想は押し付けてるかもしれないです(笑)おっしゃる通り、自他共に認めるイケメン好きですからw
2016.11.27 Sun 08:20
Edit | Reply |  

Name - ねこじゃらしにゃんたろー  

Title - 延長戦

後半戦〜〜とおもったら、延長戦につづく〜〜(笑)

やはり、逆に捌かれてしまいましたね。薪にゃん。
このちょっとズレっぷりが薪さ……にゃんっぽくていいんですね。

前からおもっていたのですがえりちゃんの青木はちょっとイケメン度が高いですよね?
やはりイケメン好きなえりちゃんだから……?ふふふ。

では延長戦お待ちしております!
2016.11.27 Sun 01:22
Edit | Reply |  

Name - eriemama  

Title - Re: 薪にゃーん!( ;∀;)

> まずは良かった~、更新あって。
> きっとえりりん勤労感謝の日に完結する予定が、なんかあったのかと。続き読めて嬉しいです…って続くんかーーい!!(°▽°)

すみませーん(^◇^;)続いちゃいました…というか、先に延長戦の方ができてその前に色々付け足したので、だんだんつながらなくなってきちゃって(笑)今、延長戦修正中です(・・;)
ほんとは勤労感謝の日にアップしたかったんですけど、まだ娘が寝込んでいたのとか、実家のことが重なっちゃいまして…ご心配おかけしましたm(_ _)m

> 薪にゃんやっぱり自分に泡つけて…(;゜∇゜)
> と思ったら違いましたねすいません。でも見たかった。いやこれから?(違う)

これから…どうでしょうか(笑)自分に泡つけてかぁ…そんな健気なのか大胆なのかわかんない薪にゃんも見てみたいなぁ(遠い目)

> 大好きな青木の腕や胸板にドキドキしまくる薪にゃんが可愛くて可愛くて、おばちゃんやっぱり全部脱いだ方が良かったとおも…

私もです(笑)結局すぐ脱ぐんかい!って書きながら自分につっこみました(笑)でも、脱がせる楽しみというのがね、ありますから////
2016.11.26 Sat 22:57
Edit | Reply |  

Name - eriemama  

Title - Re: コスチュームの薪さんをイメージしたら魚屋のおっちゃんでした…(笑)

またお越しいただいてありがとうございますw

> 薪にゃんお腹が出てきたことを気にしてるんだ~
> 年齢差をそんなところで実感しちゃうのか😁

薪さんに限って中年太りはないと思うんですけどね(笑)、歳も歳だし、いくら痩せてても多少はボディラインが変わってくるんじゃないかなぁなんて(^^;)
個人的にはアラフォーくらいになると、あんまり鍛え込まれたカラダよりそれくらいのゆるさがある方が好きなんです、可愛くて(笑)

> ご奉仕…(ごくり)

フフフ…この言い方、アウトですよね(^◇^;)
でも、薪にゃん的には真面目にご奉仕作戦なのです;;;

> 延長戦楽しみにしてます(*´∇`*)

ありがとうございますw
延長戦、薪にゃんに頑張ってもらおうと思います(笑)
2016.11.26 Sat 22:32
Edit | Reply |  

Name - なみたろう  

Title - 薪にゃーん!( ;∀;)

まずは良かった~、更新あって。
きっとえりりん勤労感謝の日に完結する予定が、なんかあったのかと。続き読めて嬉しいです…って続くんかーーい!!(°▽°)

薪にゃんやっぱり自分に泡つけて…(;゜∇゜)
と思ったら違いましたねすいません。でも見たかった。いやこれから?(違う)
大好きな青木の腕や胸板にドキドキしまくる薪にゃんが可愛くて可愛くて、おばちゃんやっぱり全部脱いだ方が良かったとおも…

あーでもすれ違っちゃいましたねぇ、どうなるんだろ。
2016.11.26 Sat 20:28
Edit | Reply |  

Name - 千尋  

Title - コスチュームの薪さんをイメージしたら魚屋のおっちゃんでした…(笑)

薪にゃんお腹が出てきたことを気にしてるんだ~
年齢差をそんなところで実感しちゃうのか😁

薪さんの体を洗ってあげたいです!
激務に追われる体を癒してあげたいですね~

ご奉仕…(ごくり)
せっかく薪さんが労ってくれてるのに、青木くんがぁぁぁぁ
若さゆえに我慢できなかったようですね(笑)

いつも青木くんが尽くしてくれてるから、お返しに青木くんに感謝したいと思う薪さんいい子!

延長戦楽しみにしてます(*´∇`*)
2016.11.26 Sat 18:56
Edit | Reply |  

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